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2017.12.25

interview

なぜ、なにもしていないのに同性から嫌われるの? 社会学と統計学的視点から、 “モテる”を科学する

なぜ、なにもしていないのに同性から嫌われるの? 社会学と統計学的視点から、 “モテる”を科学する

アカデミック・ラブ -モテ×人間-

男女が複数集まると、様々な立ち位置や関係性が生まれます。一般的に、同質性を重んじる分、排他性が強いと言われている女性は、集団の中でどのような振る舞いをし、キャラクターを作り、関係性を築いて生きていくのでしょうか。

今回は“モテ”をテーマに、その周りに存在する男性の話も交えながら、「女性に嫌われる女性」や「男性に受ける女性」、 「女性に受ける女性」の特徴について、社会学と統計学の観点から専門家にお話ししていただきました。

〈編集/ 青野祐治〉
https://twitter.com/yuji_blfd

北条 かや 先生

著述家(社会学、ジェンダー論など)

木原 誠太郎 先生

株式会社ディクラムラボ 代表取締役

ホリィ・セン 先生

京都大学大学院生 社会学専攻 サークルクラッシュ同好会創設者

徳田 葵

受講生代表

学びノート

SESSION女に嫌われる女は、 自分に自信のない女?

20

「女に嫌われる女とは」ってどういったタイプなんでしょうか?

2090

この授業のテーマは「モテ」ですけれども、そもそも今の時代、「モテる」必要があるのかなっていう疑問を持っています。

というのも女性が社会進出をしていく中で、そもそも男性に寄りかかるみたいなモデルって、ありがたくないと思うんです。モデル自体が成り立たなくなってきているなと。むしろモテることによるリスクが大きくなってきているんじゃないかという風に思っています。

今回は女性を主体に考えていますが、これは僕の意見ですけど、男性を養う女性が出てきてもいいんじゃないかなと思うんです。そういった今までの価値観が逆転するような考え方が成り立ってもいいんじゃないかなと。

それで、私の考える「女に嫌われる女」ですが、孤立する方が問題なんじゃないかなと思います。問題なのは全員にモテないこと。だからたとえ、半分位の人に嫌われても少しの人に好かれていればとりあえず孤立はしないじゃないですか。

373

女の世界での「生存戦略」としてはそれでもいいんですよね。

2090

結論から言えば2つあると思っていて、1つはまず「合わせられない人」だと思うんですよね。女性っていうのは、同質性が高い傾向があるので、表面的なところで合わせられない人は排除されてしまいがちですよね。

矛盾すると思うんですが、2つ目に「自分がない人」というのが女に嫌われる女だと思うんです。女子会などでも自己開示が求められると思うんですよね。

男性同士の友情と女性同士の友情はタイプが違うと言われていて、男性同士の友情は「横並び型」だと言われています。横並びに外側にあるものでつながる。例えば、仕事やスポーツを一緒にするなどで繋がることです。

一方で、女性は「向き合い型」だと言われます。お互いがお互いの内面を自己開示することによって友情関係ができる。最終的には自己開示が必要になっていくのではないかと思っていて、それができないと「女に嫌われる女」になってしまうのではないでしょうか。

373

女性集団の中でうまくいくには、ある程度の自分がないと「つまんない子」って思われてしまいますよね。

先ほど女性が「同質性」を重んじるという話がありましたよね。先進国は大体「一夫一婦制」です。一夫一婦制かつ「男性主稼ぎモデル」。これが、家族社会学でいう先進国に共通のモデルなんですね。

男性が大黒柱として企業でお給料をもらってきて、女性は家庭で尽くすというような組み合わせで社会が回ってきたという歴史が、ここ3世代ぐらい続いてきています。

なので、先ほどホリィさんが、「女性の社会的地位の向上」であまり「モテ」を志向しなくなったということをおっしゃったんですけど、まだ、多くの人は「結婚に繋がる恋愛をするためにモテたい」と考えていると思いますよ。

「モテたい」って言っている女性のメリットは、「男性主稼ぎモデル」の中で勝ち組になるということなので、もしその中で女性に嫌われる女性がいるとしたら、そのモデルを外部から崩しちゃう人ですよね。例えば、いつまでも女っぽく美魔女みたいになっちゃって、結婚に関係なく男性の欲望をいつまでも集め続けるようとしている人や、明らかに結婚という制度に向かない人は、ちょっと排除されちゃう。不倫する女性が嫌われるのも、そこじゃないかなぁと思います。

2055

女性に嫌われる女性って2パターンあると思うんですよね。データで見てみるとよくわかるのですが、N型って呼ばれているタイプが一つ目。優しさがすごく高くて、論理性が低くて、ちょっと周りの空気を読んでしまう、協調性の高いタイプ。徳田さんみたいな人ですね(笑)

20

えへへ(笑)

2055

そういう人って嫌われる可能性が高い(笑)女性全体の15-20%に徳田さんのようなタイプの人がいらっしゃって、嫌われるリスクが高くなってしまうんです。

373

なぜですか?

2055

その理由は、自信がないからなんですね、自分に。だから、いい意味でも、悪い意味でも、人に流されちゃうんですよ。さっき、北条さんが「男性主稼ぎモデル」について言ってましたけど、自分に自信のない女性は社会の中で意思決定ができないから、流されていくので、男子にひょこひょことくっついていくその様が同性から見ると嫌なんですよね。「なに甘えてんだ、なに媚びてんだ」みたいに。

もう一つが、自己主張がすごく強くて、論理性が低いタイプ。自分が強くならないといけないと思っているようなタイプで、いろんな人格があっていろんなことをバンバン言ってしまう人です。結構気が強いタイプで、全体の8パーセントぐらい。その人たちは、「怖い」っていう風に思われて嫌われます。

373

女性らしいタイプというよりは、姉御肌みたいなタイプですか?

2055

姉御って、女性に好かれる姉御もいますよね。以前、場の空気を読む読まない問題ってあったと思うんですけど、言いたいこと言っちゃいけないタイミングで言っちゃうっていうのがあるのかなと思うんですが、これって世代毎でも異なると思うんです。

373

確かに世代によって、どういう女性が嫌われるのかって変わってきたりしますよね。

2055

未婚の女子学生、未婚で働いてる女性、既婚で専業主婦、既婚で働く女性など、その時の状況で大きく変わってきますよね。

例えば、「美魔女」ってもともとは、優しさが強い人が多いんです。学生の時は優しかった人でも、だんだんと「私は私」みたいになって、自己顕示欲が強くなっていくと、「美魔女」みたいになっていくんですよね。するとそういうのが鼻につくっていう人も出てくるので、そういう人が嫌われてしまったりしますよね。

SESSION一夫多妻制は、経済発展を阻んでいる?

2

男性主稼ぎモデルって先進国に多いんですか?一夫多妻制のシステムを採用している国こそ、そんなイメージがあります。

373

GDPを基準にその上位を先進国であるという前提のもとお話しすると、経済発展をしてきた国って、基本的に「一夫一婦制」なんですよね。

その理由としては、子供に対して、教育がしっかりとできるからですよね。一方で、一夫多妻制の国は教育投資がおざなりになってしまう傾向があるので、経済成長しにくかったという歴史があるんですよね。

ただ、先進国では、ジェンダーフリーの考え方が広がって来ていますし、必ずしも
「男性主稼ぎモデル」がいいと言っているわけではないですよ。80年代以降は、「女性も働いた方が良いのでは?」という空気になってきましたし。そういう意味で「男性主稼ぎモデル」が見直されはじめてはいますが、一夫一婦制の見直しはあまり言われません。

2055

最近のデータを見てみると、男女の収入もだんだんと差がなくなってきていますよね。

373

どの先進国でも、「男性主稼ぎモデル」を前提としながら、女性が少しずつ、男性と同じ収入になってきて、男性は女性と同じように家事育児をするという風になりつつある。ただ、基本的には、一夫一婦制の中でどちらかががどちらかに頼って生きていくというのが、長らく続いていますね。

2055

極端な話、ヒモじゃないですけど、男女の役割が逆転してもいいんじゃないかって言うのはありますよね。主流にはならないですけど、そういう考え方もあるんじゃないですかね。

SESSION恋愛をトラッキングして、 見えてきたこと

3

言いたいことを言うにしても、相手との関係性がすごく大事な気がします。

2055

これ、すごくおっしゃる通りだと思います。僕たちの会社では相性の分析をたくさんして、749のパターンを見つけたんですね。それで、男性と女性の「ラブ」を考える上で、相性合う合わない問題はすごくありますね。

詳しく見てみると、同じタイプで相性が合うパターンと真逆のタイプでも相性がいいという2つに別れるんですよ、性格によって。

ですので、仕事だけでなく、結婚や恋愛の面でも、「合う人、合わない人」のパターンがあるというのが、データでも顕著に現れていますね。

私たちは恋愛をトラッキング(追跡)しているのですが、その結果を見ると、「優しさが高い女性は、強い男性に行きがち」なんですね。

父性が高い男性は、母性が高い人を何人か持とうとするんです。そういう人はやはり浮気することも多くて、不倫率も2割ぐらいあったり、既婚者であっても不倫する確率が高い傾向にありますね。あとは論理性が低くて、直感的に動いてしまう人なんかもそうですね。

373

確かに、リスクをあまり考えずに動いてしまう人はいますね(笑)

SESSION75.5パーセントの人は、性格が変化する?

20

逆に、男性と女性に好かれる女性の特徴ってあるんですかね?

2090

「女性に好かれる女性」っていうのは、「女性に嫌われる女性」の反対ですよね。
そういう意味では、合わせられる人であるし、自己開示のできる人かなと思います。

男性にウケる女性は、王道的にみんなからチヤホヤされるようなモテ方じゃなくて、ニッチにモテててもいいんじゃないかなって思います。最近では「邪道モテ」という言葉が出てきていますが、ニッチにモテるために自分をつくっていく。あるいは、自分がどの人と相性が合うのか考えて、その人にモテるためにはどうすればいいのか考えている女性は男性モテするんじゃないでしょうかね。

20

計算っていうことですか?

2090

そうですね。自分の性格は変えられないにしても、どの市場を狙っていくかみたいなのが大事なんじゃないですかね。

373

「好かれる嫌われる」って、その人の本質じゃなくて、どういった環境にいるかによって決まるっていうことですよね。

2055

婚活のイベントをデータで計測してみたのですが、面白いことが見つかりました。一年のうちに75.5%の人が性格変わってるんですよ。

373

え、それってどういうことなんですか?

2055

一年間かけて同じ人に、月一で心理テストを行なったんですね。その人の意識変容や態度変容を見ていくと、被験者の75.5パーセントの人の性格が本当に変わってたんですね。

373

そうなんですか!

20

えーなんでですかー?

2055

それは環境に適応しようとするからです。例えば結婚したいと思ったときには、自分を変えなきゃいけないという意識が働くので、そうなるように頑張るんです。

なかでも変わりやすい変数が二つあって、一つが優しさ、母性ですね。相手のことをちゃんとわかって、上手くいくタイプ。例えば「そうだね」ってちゃんと相槌ちを打てると、急にモテるようになるんですね。これはテクニックの話ではなく、確信的な話で、ちゃんと相手の話しが聞けて、理解できるかどうかっていうのは、ものすごく大事です。

もう一個が論理性。恋をすると論理性が下がります。ロジカルじゃない何かが出てくると、恋は進みます。交際経験がなく、初めて付き合った人のデータを見てみると、今まで論理的思考力が高めだった人でも、付き合いだすと、急に考えなくなるんですって。これって男女変わらずそうなんです。

女性に受ける女性は、バランスのとれた人、優しさが高くて、論理性が高くて、ノリがいい人です。なぜかというと、途中でお母さんにもなって、時々子供にもなるから。場によって、性格を使い分けられる女性は、女の人に受ける傾向がありますね。

男性受けする女性は、容姿に近い性格の人ですね。つまり広く浅くなんですね。たとえば、北条先生が、ものすごく優しくておっちょこちょいな性格なんだなと表層的な性格で男性は見ます。それで、その部分だけで、「あ〜この人いいかも」「あ、もっと知りたいな」と思わせること、それがモテのポイントです。

SESSION人は人との「差異」に 魅力を感じる?

373

なるほど、男性受けするためには、「こういう性格なんだな」と容姿から感じさせる方がいいということですね。

2055

男性は女性を見るとき、容姿対性格は6:4 の割合で見ると言われています。これって実は、顔から出ている性格を読んでいるんですって。この人怖そうだなとか、この人やさしそうだなとか。

2

見た目から入ることも大事なんですね!

20

自分の性格を変えたかったら外見も変えるといい、ということなんでしょうかね?

2055

そうですね。例えば、メガネをかけている人がメガネの色が変わったら、それは性格が変わってきたという風にも捉えることができますよね。服の好みとか色の好みが変わったら、性格が変わったということなんですよね。

373

面白いですね。私は、「人が人をいいな」と思う感情は、「差異への欲望」から生まれるんだと思うんです。自分と本質的には違うものを知りたいという欲求が、恋愛感情や友情の根底にあると思うんです。

男性に受ける女性という意味では、男性が普段身につけないものを着てみるといいと思います。ボーイッシュな服だけを着てしまうと、男性との差異が感じられなくなってしまうから。男性受けするためには、男性が身につけない感触のアイテムを身につけるのもポイントだと思います。

女性受けする女性という意味でも、女性は自分にはないものを持っている人に惹きつけられますね。たとえば、女性じゃない要素を持った人。
サバサバしているとか、ボーイッシュで宝塚にいそうな女性とか。そういうところに、妙に魅力を感じるという人は多いですよね。それが「差異への欲望」だと思うんです。「モテ」を科学するって面白いですね。

2017年12月25日 公開

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2017年10月10日 放送分
アカデミック・ラブ -モテ×人間-

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