目次
- 「人をゆっくり歩かせる」高級料亭の仕組み
- 忘れるし、サボるのが人間というもの
- 片付けのコツ「フィニッシュの形を決める」
2023.02.02
事務作業や人への連絡といった細かい仕事。「着手しないと」と思ってはいるけれど、ついつい後回しにしてしまう。部屋を片付けたいけれど、忙しさにかまけて一向に行動に移せてない……。それらは、仕組みによって解決できるかもしれません。
自分や周りの人をストレスなく動かして、パフォーマンスアップにつなげる方法を、「“かたづけ”を通じて人生を変える」をキーワードに経営者・企業向けのコンサルティングや研修を行う「日本初のかたづけ士」、スッキリ・ラボ代表の小松易さんに伺いました。
※この記事はSchooの授業『思わず動きたくなる「かたづけ思考」-自然と動く仕組みづくり』を再編集しています。
仕組みは、我々が日々利用する駅にもあります。それは見やすさや記号を用いて人を案内なしで目的地にたどり着けるように誘導する「通路の標識」の工夫です。
また、とある企業では、「引継ぎマニュアルをつくる」ことを自然に促すため、一週間の長期休暇を取る前にマニュアルをつくるルールを設けているそうです。
このように、私たちの行動は、あらゆる仕組みによってコントロールされているのです。 仕組みが必要な理由。それは「忘れる」からです。人間は元来「忘れる・抵抗する・怠ける」といった特性を持った生き物。
細かな作業や片付けを忘れてしまったり、後回しにしてしまうのは、どちらかといえば自然なことなのです。であれば、その特性に抗うための仕組みが必要です。
片付けが苦手な人は、気がつくといつもスマホに時間を使っています。そのため、片付けを進めるための仕組みづくりの一つとして、スマホに無用なアプリを入れず、集中できる環境を構築するということが挙げられます。
自分自身や周りを動かすため仕組みの例をいくつかご紹介します。 私のオフィスでは床を覆いつくすほどに、カタログ類や書類がつまった段ボールやケースを置いていました。いったんは片付けてみても、カタログ類は毎日届くため、すぐに元通りになってしまいます。
そこで考えたのが、「床に養生テープを貼って『ここにモノおかない』とメッセージを書き込む」という仕組みです。シンプルな手法ですが効果は高く、床がきれいに保たれるようになったのです。
また、よくあるのが「事務用品の買い足しを忘れてしまう問題」ではないでしょうか。必要になった時に必要なモノがなく、近所の事務用品店まで走った経験がある方もいるでしょう。
これを防ぐには「買い足しの時期やタイミングを決める」という仕組みが有効です。ある会社では、コピー用紙を適切に補充するため、「次にいつ注文が必要になるかをボードに表示する」仕組みを作りました。注文中であることもボードで示せば、うっかり忘れてしまうという事態はほとんどなくなります。
片付けのコツは、「フィニッシュの形を決めておく」こと。例えばある会社では、トイレの入り口の壁に「スリッパのあるべき姿」として写真付きで理想の形を示しています。乱雑に履き捨てられることを防ぐために、「どのように配置するのが理想的なのか」を共有したのです。
また「ナースステーションの掲示板の掲示物が、貼りっぱなしの状態になってしまう」という看護師さんの悩みを解決するために実行されたのが、「掲示物に掲示修了年月日を併記する」こと。これで貼った人以外もはがすことが可能になり、片づけが大幅に効率化されました。
時にはほんの小さな工夫で問題を解決できてしまうのが仕組みづくりの面白い点です。あなたの身の回りの悩みも「仕組み」で片付けられないか、ぜひ参考にしてみてください!
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私たちは知らず知らずのうちに「仕組み」という魔法をかけられています。仕組みとは「五感などに刺激を与え、ある一定の行動を引き起こし、意図した結果や成果を導くもの」。
例えば、東京ディズニーランド。人々を楽しませるために、以下のような仕組みが仕込まれています。
・トイレに鏡がない
・園内から外の環境が見えない
・アトラクションのBGMをエリア内で使い分けている(音が混じらない)
・泡ソープがミッキー
これらは、パークへの没入感や人々のムードを高め、最大限楽しんでもらうための仕組みです。
同じく、ムードを保つための仕組みが施されているのが「高級料亭」。高級な雰囲気を保つために、「人をゆっくりと歩かせる仕組み」がいくつも施されています。
・庭があることで通行する人の目をひきつけ、立ち止まらせる
・通路に襖がある(襖を開けるためにいったん立ち止まらせる)
・段差(段差の前で減速させる)