目次
- そもそもDXって何? 事例とともに解説
- デジタル化とDXの違いは○○
- DXのキーワードは「データファースト」
2021.07.28
DX(デジタルトランスフォーメーション)は産業を問わず、企業の生き残りに関わる重要なキーワードとなっています。多くの企業がDX推進を重要課題と捉える中、『自社でも「DX人材の育成」が急務だが、何から手をつけていいか分からない』という方も少なくないのでは?それにはまず、ご自身がDXについて正しく理解する必要があるでしょう。
ディップ株式会社で求人掲載サービスの企画立案などを担当してきた亀田重幸先生は、エンジニア・ディレクター・UXデザイナーなどITプロジェクトのさまざまな職域に関わるプロフェッショナルです。そんな先生が著したのが『いちばんやさしいDXの教本 人気講師が教えるビジネスを変革する攻めのIT戦略』(インプレス)。
同書の内容を下敷きに基礎から亀田先生のDXレクチャーを受けられるのが全二回の授業シリーズ『いまさら聞けないDX入門』です。本記事では基本のキともいえるその第一回、「デジタルファーストを理解するための第一歩」の内容をご紹介します!
さて、とどのつまりデジタル化とDXは何が違うのでしょうか? ──『いちばんやさしいDXの教本 人気講師が教えるビジネスを変革する攻めのIT戦略』には“DXはゴールの事を指している”と明記されています。
DXには「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」「デジタルトランスフォーメーション」の3つのステップが存在し、それぞれ「アナログデータのデジタル化」「ビジネスプロセスのデジタル化」「新しい価値の創出」を意味します。
ビジネスなので「最終的には儲からないと意味がない」と亀田先生。単なるデジタル化だけでなくその結果売り上げという結果にまでつなげて初めてDXが生じたといえるということですね。
ただし、そのままお金に直結していなくとも効率化や生産性の向上によって結果として売上アップにつながっていれば先生はDXに該当すると考えていると話します。
ここで「DX人材の定義」についての質問が。先生は「プロジェクトマネージャーもあればディレクターもあるし……」と複数の職種が該当するといい、その中でもビジネスの全体の絵を描いていくディレクターやプロデューサーが特に当てはまりやすいと考えを語りました。
さて、続いてのテーマは「DXプロジェクトの進め方」です。「まずは全体の流れを理解しましょう」と先生。最初のステップは「課題の発見」です。
困っていることを洗い出し、その中でデジタル化すべきものを抽出して優先順位までつけます。つづいて着手すべきなのが「解決策の立案」。企画書や仕様書を作成し、プロジェクトを詳細に定義していきます。最後が「実行」のフェーズ。データをどう集めるのか、どう活用するのかなど具体的な部分までプロジェクトを進めます。
「ここまで見てきてわかると思うんですけど、別に新しいことないんですよ」と先生は明かします。確かにプロセスで見ると通常のシステム開発プロジェクトと変わらないように見受けられますね。
そこでより詳細に語られたのが「企画立案」のポイントです。亀田先生曰く「ビジネスとデータから入るとDXが上手く進んでいく」。ビジネス構造をとらえるために先生が提示するのが以下の3つのポイントです。
・Quality(品質):うまい
・Cost(コスト):安い
・Delivery(納期):早い
「牛丼チェーン『吉野家』のキャッチコピーですね」と先生。そこにDXで盛り込まれるのが「データファースト」という視点です。従来のシステム開発では「いかに機能を盛り込むか」に重点が置かれていました。DXでは、「いかにデータを活用し業務効率化を図るか」がポイントとなってくるのです。
ビジネスで利益を上げる方法として先生は、以下の式を提示します。
販売価格 ― 仕入れコスト = 利益
利益を高める方法には「販売価格を上げる」と「仕入れコストを下げる」の二通りありますが、DXが効果を発揮しやすいのは後者です。
製品の機能やブランド力を高めることで「うまい」を、人件費や製造原価を抑えることで「安い」を、効率を高め販売機会を増やすことで「早い」を実現できるからですね。
DXにあたって誰しもに取り組んでもらいたいことと先生が提示するのが「ビジネスモデルを書く」ということ。カネ・モノそれぞれの流れを図式化し、全体の構造を把握します。
続いて取り入れたい視点が「データ」。販売プロセスをステップごとに分類し、それぞれのフェーズでどのようなデータが取得できるのかを可視化していきます。
最後にビジネスを効率化し利益を生むためにどのようにデータと業務システムをつなげたらよいのかを考えます。例えばコールセンターでの顧客対応時、質問内容をデータ化し問い合わせに対して音声認識で回答例が自動で提示されればオペレーター業務の質やスピードの向上につながりますね。
「クロネコヤマトのLINEでAIが受け答えしてくれるサービスが効率的に感じた」と話す受講生代表の花海さん。先生はまさにそのような形で既存のビジネスを分析し、どこをデジタル化すれば「早い・安い・うまい」が実現できるかを考えることが重要だと強調しました。
どの業務を変えるにせよ、起点となるのはデータです。みなさんも「データファースト」をキーワードにDXに挑んでみましょう!
本記事で取り上げる授業内容は以上です。実際の授業ではより詳細に質疑応答が行われており、シリーズ第二回「実践者が解説するDX推進計画づくりの指南」にもスムーズにつながる内容となっています。気になる方はぜひ、実際の動画にアクセスしてフルで視聴してみてください。
文=宮田文机
『Schoo for Business』について
「今学びたい学習コンテンツに出会える」をコアバリューとし、社会人向け学習動画を約6,200本提供しています。ビジネスマナーやスキル、営業・プログラミング・デザインの実務スキルについてオンライン動画にて持続的な学習環境を提供することで導入企業は累計2000社を突破(2021年5月末時点)。学習動画を元にした研修カリキュラムの提供やレポート提出、利用者の学習時間・学習傾向から興味のある分野を分析可能。オンライン集合学習機能も搭載。自発型学習による社員一人ひとりの潜在した可能性との出逢い、成長の機会の提供に役立てられている。オンライン学習サービス調査で4部門1位を獲得
人材育成の課題をオンライン研修で解消『Schoo for business』
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そもそも押さえたいのが「DXとは何か」。「要するにデジタル化のこと?」「AIはDXなの?」などありがちな疑問をいくつか挙げたのち、先生は以下のような事例を紹介します。
・amazon go(ECサイトから決済のいらないリアル店舗へ)
・NETFLIX(ビデオレンタルをオンラインへ)
・Uber(どこからでもスマホからタクシーを呼べる)
・NIKE(データを外部に開放し、自分だけのスニーカー注文を可能に)
「そもそもDXって?」基礎から学べる研修プラン
このように既存のビジネスをテクノロジーで変化させ、新たなビジネスの扉を開くのがDXなのです。
ここまで海外の事例が挙げられましたが、日本にもDXの事例はあるのでしょうか? ──もちろん、存在します。 例えば宅急便で有名なヤマトホールディングス株式会社では輸送のデジタル化を進めています。データを用いて緻密な輸送システムを構築しているのです。
また、ユニクロも有名なDX企業のひとつ。商品を置くだけで自動的に会計が進められるシステムを利用したことがある人も多いのでは? またDXに取り組むことに専念する会社を作った富士通のような事例もあるそうです。
国内では一部業務のデジタル化が中心で、海外に対しやや規模が小さい傾向があるものの、日本という国もDXに注力し始めているということです。