目次
- 私たちは知らず知らずのうちに『仕組み』という魔法をかけられている
- 東京ディズニーランド、品川駅……身の回りに潜むさまざまな仕組み
- 簡単に実践できて大きな効果を生んだ「仕組み」の事例
2022.01.28
事務作業や人への連絡といった細かい仕事。「着手しないと」と思ってはいるけれど、忙しさにかまけて一向に行動には移せていない……。
この一文をよんでドキッとした人は、ぜひこの記事をお読みください。
スッキリ・ラボ代表の小松易(こまつ・やすし)先生は「“かたづけ”を通じて人生を変える」をキーワードに経営者・企業向けのコンサルティングや研修を行う「日本初のかたづけ士」です。仕事を片付け、キャリアや家庭を整頓する。その目標に向けて、「行動に移す」ところまでを目標に小松先生が開講するSchooの人気授業シリーズが『思わず動きたくなる「かたづけ思考」』。第2回のテーマは「自然と動く仕組みづくり」。仕組みによって自分や周りの人をストレスなく動かして、パフォーマンスアップにつなげる方法がレクチャーされました。
本記事では、その一部を抜粋してお届けします!
リアルタイム受講生からは「お昼のチャイム」「列があったら並んでしまう」「賞味期限」「クーポン・ポイントカード」などのコメントが寄せられました。
先生が紹介する「仕組み」の事例、その一つ目は「東京ディズニーランド」です。人々を楽しませるために、仕込まれているのが以下のような仕組み。
・トイレに鏡がない
・園内から外の環境が見えない
・アトラクションのBGMをエリア内でうまく使い分けられている(音が混じらない)
・泡ソープがミッキー
同じく、ムードを保つための仕組みが施されているのが「高級料亭」。高級な雰囲気を保つために、次のような「人をゆっくりと歩かせる仕組み」が施されていると先生は話します。
・庭があることで通行する人をアトラクトし、立ち止まらせる
・通路に襖がある(襖を開けるためにいったん立ち止まる。結果、走らせない)
・段差(段差があるため、いったんその前で減速する。走らせない)
また、我々が日々利用する駅にも注目です。品川駅にある仕組みとして、先生は、見やすさや記号を用いて人を案内なしで目的地にたどり着けるように誘導する「通路の標識」の工夫について解説しました。
とある企業では、「引継ぎマニュアルをつくる」ことを自然に促すため、一週間の長期休暇を取る前にマニュアルをつくるルールを設けているということです。また小松先生の運営するスッキリ・ラボでは「まず行動を起こす」仕組みをつくるため、かたづけを行うことを宣言する「宣言カード」や実践後の「レポート」「セルフ片付けプロジェクトシート」「エリアマップ」などツールを用意しています。
仕組みが必要な理由として先生は「人は忘れる」を掲げます。「片付けのやる気が起きないのも忘れるから」だと小松先生。人間は元来「忘れる・抵抗する・怠ける」といった特性を持った生き物だと先生は考えています。だからこそ、その特性に抗うための仕組みが重要だと主張しているのです。
「片付けが苦手な人は、気がつくといつも『スマホ時間』に使っている」と小松先生。そのため、片づけを進めるための仕組みづくりの一つとして、スマホに無用なアプリを入れず、仕事に集中できる環境を構築するということが挙げられます。
ここで、「ほかに職場や家でうまく自分を動かしている仕組みは?」とリアルタイム受講生に再び問いかけが行われました。
・システム手帳の記録タイム
・植木に水をやる
・制服を着る
・コーヒーを入れる
各々が実践している「五感」を刺激するための工夫はさまざまです。先生が自身や周りを動かすための仕組みを解説するために、スライドに表示させたのが以下の写真。
オフィスの床を覆いつくすほどに、カタログ類や書類がつまった段ボールやケースが置かれています。この状況を改善するためいったんは片づけてはみたものの、カタログ類は毎日届くため、すぐに元通りになってしまっていたとのこと。
この状況を解決したのが「床に養生テープを貼って『モノおかない』とメッセージを書き込む」という仕組みづくり。シンプルな手法ですが効果は高く、すぐに床がきれいに保たれるようになったと先生は語ります。
ほかに仕組みで解決できる問題の一つとしてピックアップされたのが「事務用品の買い足しを忘れてしまう問題」。気が付いたら必要なツールがなく、近所の事務用品店まで買いに行った経験がある方もいるでしょう。これを防ぐには「買い足しの時期やタイミングを決める」という仕組みづくりが有効です。特に気が付いたら不足しやすいコピー用品を適切に補充するため、ある会社が作ったのが「どこで注文が必要になるかを備品の間に設置したボードで示す」仕組み。注文中であることもボードで示せば、うっかり忘れてしまうという事態はほとんどなくなります。
もうひとつ、かたづけのコツとして示されたのが「フィニッシュの形を決めておく」こと。例えばある会社では、トイレの入り口の壁に「スリッパのあるべき姿」として写真付きで理想の形を示しています。乱雑に履き捨てられることを防ぎたいと思ったとき、まずはどのように配置するのが理想的なのかを共有することがかかせません。また「ナースステーションの掲示板が貼ったら貼りっぱなしの状態になってしまっている」という看護師さんの悩みを解決するために実行されたのが、「掲示修了年月日を掲示物に併記すること」。
こうすることで貼った当人以外もはがすことが可能になり、大幅に片づけが効率化されました。
このように小さな工夫が、今までの悩みを解決してくれるのが仕組みづくりの面白い点です。あなたの身の回りの悩みも「仕組み」で片づけられないか、ぜひ一考してみてください。
文=宮田文机
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授業最初のテーマとして小松先生がスライドに表示したのが「物事がうまくいかない理由」という文言。第一回の授業でふれたとおり、「人は変えられないが、環境は変えられる」と先生。そして「環境を変えることで人が最終的には変わっていく」と語ります。
さて、ここで提示されたのが「仕組みの定義」です。小松先生曰く、仕組みとは「五感などに刺激を与え、ある一定の行動を引き起こし、意図した結果や成果を導くもの」。そして、「実は私たちは知らず知らずのうちに『仕組み』という魔法をかけられているのです」と先生は語ります。
ここで「あなたが知らず知らずに動かされている仕組みは?」という問いがリアルタイム受講生に対して投げかけられました。