目次
- フィンテックで目指す“不動産ローンの民主化”
- なぜ借り換えの存在すら知られていないのか?
- もはや住宅ローンは保険である
2020.11.17
Fintech(フィンテック)はもはやビジネスパーソンにとって当たり前の概念となりつつあります。とはいえ“お金をデジタル化すること”といった漠然とした理解にとどまり、その意義や最新の取り組みについて十分に理解できていない自覚がある人は少なくないはず。
今後さらに一般化していくことが予想されるフィンテック企業の最新の取り組みについてSchooの授業シリーズ「デジタル時代のお金・金融の基礎講座」第3回『Fintech Front Line vol.1 フィンテックの最先端企業に迫る』では深堀りしました。
同シリーズではおなじみの資産形成にかかわるセカンドオピニオンサービス「セカオピ®」を運営する株式会社ノークリー代表取締役の大石武先生に加え、今回の授業ではオンライン住宅ローンサービス「MOGE CHECK」を展開する株式会社 MFSの代表取締役CEO中山田明先生が講師として参加しています。
「MOGE CHECK」が生まれた意義を、今後住宅を購入しようという方が知って得する知識とともに押さえましょう!
「なぜ皆さんは『借り換え』という選択肢の存在すら知らないんですかね?」と大石先生。
中山田先生は不動産の購入手続き段階では営業マンの方が色々教えてくれるが、購入した後はサポートが受けられないので自分で試行錯誤しなければならないという状況があると分析します。また、「住宅ローンは毎月自動引き落としされるので痛み(の実感)がない」と中山田先生。
大石先生もプロと関わるのが最初だけ、という状況に問題があるという意見に首肯します。
しかし、日々金融機関間で競争があり、金利の変動が生じています。中山田先生によると金利が下がったり、団信といった商品のバリエーションが増えたりする傾向はあるとのこと。
リアルタイム受講生からも「借り換えは確かにあまり知られていない」「住宅ローンの仕組みが異なるのでアメリカのように容易に借り換えはできないように感じる」という実感のこもった声が寄せられました。
後者のコメントを取り上げて、アメリカではブローカーが購入者と金融機関の間に立って借り換えなどの手続きを行う仕組みが成り立っている現状があると中山田先生は指摘します。そのような会社が日本にないということが、中山田先生が「MOGE CHECK」をつくったひとつの理由だということです。
また「よくわからないものを触るのが怖い」という誰もが共感できるコメントも。大石先生は借金やローンにネガティブなイメージを持って人と話さない方がいいと考える風潮はあると認めつつ、「意外とそういうところに知っておいた方がいいことがいっぱいある」と答えます。だからこそこの授業が意味を持つのです。
ほかにも「個人が気軽に相談できるサービスはあるのでしょうか?」「変動から固定に変える場合どれぐらいの金利差があるのでしょうか?」といった質問が講師陣に尋ねられました。
ここまで取り上げた不動産ローンの課題に対し、フィンテックサービスにも課題が存在します。
それは、固定概念が技術の進展を阻んでいるということ。「新しいサービスやお得というサービスは怖い、怪しい……」という心理も固定概念から生まれているのではないかと一度疑ってみることは必要でしょう。
大石先生によると、人々の間には以下のような固定概念が存在するということです。
・住宅ローンは人生一度の意志決定
・借金は悪いことだ
・保険は安全
ここで表示されたのが以下の「全国の30~50代の男女481名を対象とした『生命保険に対する消費者意識調査』の結果」です。
・医療保険と死亡保険には半数以上が加入、最も不安があるのは「がん」
・平均保険料は月1万円程度
・半数が営業担当者から情報収集
・住宅ローン利用者の3割が団体信用生命保険(以下、団信)を知らない
・住宅ローン利用者の半数が団信の内容を考慮せずに住宅ローンを選択
特に強調されたのが下2つの調査結果です。団信とは、加入者に死亡・重大な後遺症などの保険金支払事由が発生したら残りの住宅ローンが完済される保険のこと。しかも「保険料は金融機関が負担することになっている」と中山田先生。金利に含まれるとしても、オプションとして有効であることには間違いありません。
すなわち「もはや住宅ローンは保険である」と中山田先生。「これが今回一番お伝えしたかったこと」だと話します。住宅ローンが借金と考える方には真逆に感じられるのではないか、と大石先生。
住宅ローンの金利はどんどん下がる傾向にあり、2020年7月時点で変動(ネット系&メガ)は0.4%台へ突入しています。最初に事務手数料がかかりますが、現在それらを合わせた金額に毎年1%の控除が13年受けられる仕組みが設けられています。その効果を計算すると、「実質住宅ローンはゼロ金利と考えられる」と中山田先生。さらに保険(団信)がついてくるというのは大きな財産です。
このような仕組みを知り、利用するためには一度固定概念を疑ってみることが必要なのです。
フィンテックサービス「MOGE CHECK」の意義を深く取り上げ、住宅ローンで知っておくべき最新事情を紹介しました。お金に対する知識は知らなければ損に、知れば得に大きくつながります。
『デジタル時代のお金・金融の基礎講座 第3回 Fintech Front Line vol.1 フィンテックの最先端企業に迫る』(未会員の方は1時間無料で視聴できます)。
http://schoo.jp/class/7397/room
ぜひシリーズ次回の生放送「株式会社"自分”の財務三表の作り方」も視聴して、自分の資産形成にプラスにつながる知識を仕入れましょう!
『第4回 株式会社"自分”の財務三表の作り方』(未会員の方は1時間無料で視聴できます)。
文=宮田文机
生放送は無料!365日放送のSchoo生放送カレンダーはこちら(未会員の方は1時間無料で視聴できます)。
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中山田先生と授業の打ち合わせをする際にも「非常に面白いビジネスモデルだ」と改めて「MOGE CHECK」の意義を実感したという大石先生。大石先生がとらえた「MOGE CHECK」が作ろうとしている世界観が以下です。
・不動産ローンの民主化
「不動産ローンは選択肢がない、一回決めたら払い続けるしかないと思っている人が多いはず」と大石先生。その固定概念を壊すのが「MOGE CHECK」です。
それまで存在していた障壁が「情報格差によるユーザー不利益構造」。具体的なポイントとして掲げられたのが以下の2つです。
1.“借り換え文化”不在の日本
2.不動産営業マンだけが知っているローン
「一度決めた住宅ローンを安いものに借り換えることすら知らない日本人が多い」と大石先生。これはグローバルスタンダードから遅れる日本人の金融リテラシーを象徴的に表しています。また、不動産営業マンが抱え込む内部情報も少なくありません。
それらの問題を解決し、「不動産ローンの民主化」を実現するのがフィンテックサービス「MOGE CHECK」だという分析が授業ではなされました。
中山田先生もその分析を肯定し、“住宅ローンは利用される側が審査される構造がある”ことを指摘。さらに利用側と審査側に情報格差が存在するため、そのギャップを埋めるなければ不動産ローンの民主化は進まないと語ります。