2022.11.09
「ターゲティング」はお客様の顔や生活が見えるまで
近年は「〇〇マーケティング」という用語があふれかえっています。しかし、マーケティングとはそもそもなんでしょう。
今回は、経営学者の中川功一氏が見た、優秀なマーケターと残念なマーケターの例をもとにマーケティングの第一歩であり成功の決め手となる要素、「ターゲット」の考え方について解説します。
※この記事は、『マーケティングフレームワークの基本①~3C分析とSTP~』を再編集しています。
マーケティングの成功の半分は「ターゲット」で決まる
お客様の顔が見えていないマーケター、見えているマーケター
実際にあった例として二人のマーケターを紹介します。
1人目のマーケターはあるベンチャー企業のマーケティング担当者でした。自社の新商品が発売される際、数千万円の予算を使い、山手線の車両ラッピング広告を実施しました。しかし、売上の増加にほとんど影響はありませんでした。
2人目は、ある豆乳飲料のマーケターの例。こちらは商品のプロモーションの際に、ターゲットを「サブカル好き、共働きで夜がくつろぎの時間の20代後半〜30代」と設定していました。
ありありとしたターゲット像があることで、『その層に絶大な信頼を誇るタレントに、テレビ番組内で「これ、おいしいのよ」と心から言ってもらう』というPR戦略まで描いていました。結果、売上は倍に。
両者の違いは「人の顔が見えているかいないか」です。
前者のマーケターは「多くの人に伝えれば、その中から誰かが買ってくれるだろう」という考え方。
後者はターゲットの顔やライフスタイルが鮮明に浮かんでいたことで、「その層に影響力のある人のお墨付きをもらうことで商品の認知や信頼性が高まるのではないか」というより深い仮説立てができていました。具体的なプロモーション戦略まで描けたのです。
ターゲティングの考え方は、どんな職種の仕事でも活かせる考え方です。
マーケティング、営業、製品企画・開発、カスタマーサクセスなど、どんな分野の仕事でも同じで、お客様の顔が明確に浮かんでいれば「大きな失敗はしなくなる」と言っても過言ではありません。
マーケターの思考法を参考に、早速今日の仕事に活かしてみましょう。
マーケティング戦略の成功の半分は「ターゲット」で決まります。
消費者目線だと、面白いCMや話題を呼ぶようなユニークな製品、商品の陳列など、目に留まる部分に注目が集まりますが、これらはあくまでマーケティングの戦術の一つです。本当の勝負は、適切な市場を選択できているか、正しくターゲティングできているかで決まることがほとんどです。
ターゲティングとは、「誰に商品を買っていただくか」を決めることです。そんなこと当たり前、既にやっているよと感じたかもしれません。たしかに何かビジネスをするのであれば、どんな人が顧客の対象なのかを設定することは多いと思います。しかし、そのターゲティングは“足りていない”かもしれません。
表現を変えてみます。
あなたの頭の中に商品を買ってくれている人の「顔」がありありと浮かび、その人のライフスタイルやどういうことに興味関心を持ってるのか見えているか。
これが真にターゲットを定めるということです。