目次
- 岸田政権の経済政策の方向性
- 18歳以下への10万円給付、マイナンバーポイント付与案の結末
- コロナ対策の各種施策の進捗状況
2021.11.26
衆議院選挙が終わり、2021年11月10日に第二次岸田内閣が発足しました。新型コロナウイルスの影響により世界的に不況が続くなか気になるのは、日本経済がどこに向かって進んでいくのか、これから生活が苦しい国民に政府はどのような経済政策を投じてくれるのかという点ではないでしょうか。
11月12日(金)放送の『田中秀臣の最新経済ニュース(2021年11月号第1回)』では、第二次岸田内閣の経済政策について詳しく解説されました。講師を務めるのは経済学者の田中秀臣先生。
コロナ禍によって国民からの注目度が増した日本経済の方向性。緊縮、再分配、アベノミクスなどさまざまな方向性がメディアで紹介されていますが、岸田政権はどのような方向性にシフトしていくのでしょうか。岸田政権の経済政策について知りたい人におすすめの授業となっています。
そんな岸田政権ですが、経済政策の方針の一部が見られたのは、先日のこと。公明党から「18歳以下への教育支援として10万円給付案」と「3万円分のマイナンバーポイント付与案」が提示され、自公での交渉が行われました。
先生は交渉の結果には「あまり感心しない」と述べます。なぜなら交渉の結果、取引にかかる労力が増え、金額は縮小してしまったからだそう。
上のスライドに記載されているのは、自公の交渉の結果。確かに、現金給付には所得制限がかけられ、現金として給付される額は5万円に減っています(残り5万円に関しては、クーポンにより給付予定)。
またマイナンバーポイントの付与に関しては、3万円分から特定の条件を満たすことで最大2万円分の付与へと金額が変更されています。田中先生が特に眉をひそめたのは、マイナンバーポイントに付与される額が減った点でした。そもそもマイナンバーポイントの付与はコロナ禍における経済対策の中でも「景気刺激対策」に分類されるとのこと。
そうなると、今後の日本経済を少しでも上向きにするためには、国民の消費を促すような内容であることが必須なはず。 しかし今回の交渉で付与されるマイナポイントの額が減り、かつ条件まで付け加えられると、せっかくの景気刺激対策も本来の効果を発揮しないリスクが生じます。
先生も「消費減税に踏み込まないのであれば、マイナンバーポイントの金額をもっと上げた方が良い。もしくはマイナンバーポイントを国民一律に10万円分を配っておき、それを使うにはカードを持っていないといけないといった政策にすれば、マイナンバーカードの普及と景気刺激政策にもつながるのでは」と語ります。
授業後半では、コロナ禍における生活支援政策・景気刺激政策の種類とその予算の進捗状況にも触れられました。
2021年6月の放送でも、同じように各種施策における予算の進捗状況について語られましたが、当時はどの施策の予算にも余裕があり、トータルで20兆円ほどのこと。この状況に関してSNSでは「施策にお金が使われていないのであれば、今後は予算を追加で組む必要はないのでは?」という声もありました。
しかし、先生は「6月の段階で予算が余っている施策は、余って当たり前のものがほとんど」と語ります。例えば「GoTo」関連の予算。
これらは緊急事態宣言の延長により、観光や食事に行けない、イベントも開催できない状況が続いたため予算が使われませんでした。つまり、余るべくして余った予算なのです。では、2021年11月の段階ではどうなっているのでしょうか。
先生のスライドには、驚くべき状況が提示されていました。先生が提示した、驚くべき予算の進捗状況とはいったい?詳細は、実際の授業を受講して確かめてみてください。
授業では他にも、補正予算案の流用問題や文芸春秋の矢野論文論争についても語られています。岸田政権が掲げる経済政策について詳しく知りたい、補正予算案について最新の情報がほしいという人は、こちらもぜひチェックしてみましょう!
文=トヤカン
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日本はいま、かなり深刻な財政問題を抱えていると言われており、「まずは財政再建が最優先なのでは?」という見方をする人も少なくありません。
もちろん財政再建がまったく意味がないわけではありません。いまは財政再建よりも経済全体の再建が重要。さらに財政再建は経済再建の結果でしかありません。しかし田中先生曰く「財政再建の方法に関して、岸田政権はかなり懐疑的に見られている」とのこと。
なぜ懐疑的に見られているのでしょうか。それは岸田首相がもともと緊縮財政派であったという点にあります。ここでいう「緊縮」とは財政の基礎を固めるために政府からの支出をできるだけ抑えることを指します。また再建を促すために増税も視野に入れるのが特徴です。
現状、岸田首相は「アベノミクスを継承する」「分配と成長の好循環、成長があってこそ分配が成り立つ」と提言していますが、田中先生は「人によっては『いつか緊縮財政の方にシフトするのでは?』と懐疑的な目を持って見ている」と語ります。
また先生曰く「長期的な目線で見ると、外務大臣に林芳正氏を起用している点も気になる」とのこと。理由としては、林氏が緊縮派の代表格である部分が大きいようです。