目次
- 最近の営業で用いられる「型」とは
- 営業を取り巻く環境は変化している
- これからの営業の役割
2020.08.18
新型コロナウイルスの流行が世の中にもたらした変化として、ここ数年盛り上がり続けていたSalesTechの普及を加速させたことが挙げられます。足を使って稼ぐ、など従来の営業にあった泥くさいイメージは払しょくされ、もはやオンラインで商談が完結することも珍しくありません。
そんなSalesTechのイマ、そして営業という職種の未来について学びましょう。
毎週月曜日よる9時から生放送されるSchooの人気授業シリーズ『Bridge the GAP』第27回のタイトルは『SalesTech、未来の営業の役割は?』。講師はベンチャーキャピタルファンドSTRIVE株式会社代表パートナーの堤達生先生です。
「理想の自分と現実の自分のギャップを埋める」がスローガンの『Bridge the GAP』。この授業で理想の営業パーソンに近づくためのヒントをつかみましょう!
続いてのテーマは、営業を取り巻くメガトレンド・進化する支援サービスについて。
新型コロナウイルスの流行によって人と会うことが前提となる足を使った営業は難しくなりました。そのため、オンラインで営業を完結することを志向する企業が増加しています。
その状況について先生が指摘するのが、移動がなくなったことで商談の数を増やすことができ生産性が上がるという点。もちろん重要な商談は上長に直接会う必要があるといった事情は変わらず存在しますが、着実に変化は広がっています。オンラインでの営業が「慣れていないから」と敬遠されていた状況はコロナ禍によって大きく変わりました。そして、5、6月辺りは戸惑いがあった人々も徐々に慣れ、オンライン営業は徐々に当たり前になりつつあります。また、オンラインでの営業をサポートするツールも現れてきています。
例えば保険の契約を完全にオンライン上で完結させた、という経験を持つ方も最近では多いのではないでしょうか。
Amazonでボタンをぽちっとクリックするだけでいろんなものが買えるように、BtoBの世界でもボタンの一押しで購入が成立するような世界になっていくことは望ましい、と先生は考えているそうです。
△【Schoo授業動画 20:52】(会員登録でこの授業のスライドが全部見られます)
法人向けにITソリューションを提供する業種としてこれまでSIerがありましたが、SaaSはその中身も大きく変えていくとのこと。企業の業務における課題を把握してシステムを提供するという機能は残りつつも、その手法は大きく効率化・SaaS化されていくようです。
SaaSの場合、提案内容や顧客の声がどんどんプロダクトに反映され、アップデートされていくことも大きなアドバンテージとして挙げられました。
また、対面でのイベントができない分、バーチャル空間でのイベントやウェビナーが増加しつつあると先生。コストが抑えられるため、これまでオフラインで行われていたようなイベントもどんどんオンラインに置き換わっていくだろうと予測します。
最後の議題はこれからの営業の役割です。
「『相手が困っていることは何かを把握する』という営業の役割はこれからも変わらず重要であり続ける」と先生は断言します。ただし、課題を探るプロセスは大きく変わっていきます。
これまでは直接会い、ときには食事の席で親睦を深めて深い気持ちを引き出すのが伝統的でしたが、コロナ禍においてそのような手法は使えません。そのため、事前に相手や業界について徹底的に調べることが重要になります。
前述の通り蓄積されたデータを活用しつつ、マーケティングやインサイドセールスでニーズを絞り込むのが現代型の営業の基本。今後はAIを活用し、未来予測にもとづいて提案することも定着してくるだろうということです。
「営業マンがいなくなったら営業スキルを生かせる仕事は?」という質問への先生の回答は「営業マンがいなくなることはない」というものでした。
「ただし、役割は変わっていきます」と先生。今後の営業は、エヴァンジェリスト(伝道師)という言葉があるように、自社や自社の商品をうまく伝道していく役割を担っていくようです。
△【Schoo授業動画 57:36】(会員登録で1時間無料視聴できます)
授業ではほかにも「具体的な営業支援サービス例」や「営業に必要な人間力」についてのレクチャーが行われました。詳しく知りたい方は、Schooのサイトにアクセスしてみてください。
文=宮田文机
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△【Schoo授業動画 5:36】(会員登録で1時間無料視聴できます)
自身も営業職に従事した経験があるという堤先生。自ら電話をかけ、クロージングまで一気通貫で行う営業マンだったそうです。「正直なところ、効率が悪かった」と当時を振り返ります。
しかし、SaaSが導入されることでそのような営業手法は一新されつつあるというのがこの授業で最初に取り上げるポイントです。
見込み顧客をリストアップしたうえで、電話やメールで完結するインサイドセールスに着手。ナーチャリング(見込み顧客の育成)に取り組み、見込みの高いホットリードにアポを取る。そこからようやく商談を進め、契約を結べたらカスタマーサクセスへ移行。継続的な顧客管理を行う。
「これが最近の営業の型の型のひとつです」と堤先生。ただやみくもに顧客に接触するのではなく、見込み顧客をリストアップし育て上げるところからはじめ、契約が結んだ後もサポートを続ける。このようにものを売る前、売ってからのフェーズが増加したため、それぞれの段階でマーケティング、カスタマーサクセスなどある程度専門の人材が必要とされ始めているのも大きな変化といえます。
△【Schoo授業動画 1:16】(会員登録で1時間無料視聴できます)
もちろん商材や市場環境によって適切な営業手法は異なります。slackやzoomのようなオンラインで完結するシステムはまず無料で使ってオンライン上で契約を終えるセルフサービス型の流れで完結しますが、より複雑なシステムや自社の基幹システムと連動させる必要のあるBIツールなどは営業パーソンが懇切丁寧に説明することも必要になってきます。
ここで「適切な価格帯」についての質問が。
「いい質問ですね」と先生。その内容については常に議論されており、マーケットや競合の存在、短期でみているのか中長期で回収するのかなどによってことなるということです。
また、「分業が進む中で顧客情報の共有はどうなるのか」という質問に対しては、SaaSどうしをつないで一元管理、クラウド上で可視化できるツールが出てきていることなどが紹介されました。分業が進む中で「情報共有が最も重要になってくる」のは確かだと先生も同意します。マーケティングオートメーションなど自動化ツールも広まってきているということです。