目次
- 炎上が与える現代社会への影響
- 2020年、炎上件数が増加!
- 炎上に参加する人の数と特徴
2021.02.19
昨今、SNSやネット上における個人や企業への罵詈雑言・誹謗中傷、いわゆる「炎上」が顕著に見られるようになりました。「○○と言っているあいつはクソだ」「○○は最下層の人間だ」といった極端な考えを持った人によって、心が傷つき、トラウマを植え付けられてしまった人も少なくありません。
『ギモンの法則 -不確かな未来を経済でひらく-』は、さまざまな疑問を計量経済学の観点から分析していく60分。今回の疑問は『なぜネット上は「極端な人」ばかりいるのか?』です。講師に国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授・山口真一先生を、学び手に声優で漫画家の徳井青空さんを迎え、ネット上で炎上が起こる理由と極端な人の正体を掴みます。
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まず先生は、極端な人が作り出す炎上について語ります。山口先生いわく「SNSやネットにおける炎上は、良くも悪くも社会に様々な影響を与えている」とのこと。
まず良い点として挙げられたのが、消費者の声が通りやすくなる点です。ここでいう「声」とは、企業(強者)の不正に対する消費者(弱者)の声のことであり、これが通りやすくなることで消費者の意見が反映されやすくなる効果が期待できます。
一方、悪い影響はミクロとマクロの2つの視点に分けられ、山口先生は「マクロの影響が社会的に大きい」と語ります。
「マクロで考えたとき、沈黙や表現の萎縮といった現象が起こってしまうんですね。『一億総メディア時代』『誰でも自由に発信できる時代』と言われているにもかかわらず、世間を気にするあまり発信が臆されてしまうんです。炎上がもたらす社会への影響として最も大きいのは、まさにこれでしょう」
また炎上は、株価にも大きな影響を与えるほどのパワーを持っているそうです。
実際に中規模以上の炎上による株価の下落幅を分析した結果、平均で約0.7%であるということが判明しています。一見、数値的には少ないように思えますが、これは航空機事故や科学爆発が起こったときの下落幅とほぼ同じとのこと。ちなみに、より大規模な炎上になると5.0%、ひどい場合は18.0%ほど下落しているという結果も出ています。
2020年、炎上件数が増加!
2020年、世界は新型コロナウイルスによって様々な影響を受けました。ネット上の炎上もその1つ。先生いわく2020年4月、炎上の件数は前年同月比で約3.4倍も増えたそうです。
背景としては「SNS閲覧時間が増え、不快に思う投稿やニュースと出会う機会が多くなったこと」や「社会的な不安から、誰かを攻撃したくなる人が増えたこと」が挙げられるとのこと。ちなみに後者に関しては、脳科学でも研究されており、誰かを攻撃すると快楽物質のドーパミンが分泌されることがわかっています。
2021年になったいまも、感染者差別、自粛警察、ウレタンマスク警察といった不特定多数を攻撃する現象は収まらないのは、どうにもならない社会的な不安を解消したいと思う人が数多く存在する証とも考えられます。
炎上に参加する人の数と特徴
炎上件数の増加が明らかになったところで気になるのは、炎上に参加している人の割合。炎上件数が増加している以上、炎上の参加人数も多いと考えるのが一般的でしょう。しかし、山口先生は「調査によって全く逆であることがわかった」と語ります。
「私が以前調査した結果、炎上1件に対して参加している人はネットユーザーの約0.0015%であることがわかりました。数にすると約7万人に1人です、少ないですよね。よく炎上は世界中が敵になっているようにイメージされやすいんですが、実はごく少数の人が作り上げたものであるケースが往々にしてあります」
また先生は、実際に起きた事例を用いて炎上の特徴をより具体的に説明します。
「現に、サイエンスライターの片瀬さんが誹謗中傷を受けて裁判を起こした事例では、Twitter上で数百ものアカウントを作って攻撃していた男性が訴えられています。誰でも数百もの異なるアカウントで誹謗中傷を受ければ、びっくりしますよね。でもこのように、必ずしもアカウントが異なるからといって全員が違う人とは限らないのがネット上における炎上の特徴なんです」
ただ、ごく少数だからといって安心できないのが炎上。実際に大きなダメージを与えられた企業やトラウマを抱えてしまった人がいる以上、その力はあなどってはいけません。
そして先生はこの後、炎上を作り出す「極端な人」の特徴を具体的に示します。先生の専門である計量経済学の分野で導き出された特徴は、受講生の多くが驚いてしまうほど意外なものでした。一体、どのような特徴を持った人が炎上を作り出しているのでしょうか? 詳細は、実際の授業で確認してみましょう。
文=トヤカン
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