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2021.05.24

column

リモートネイティブ世代の心理的安全性を高めるコミュニケーション術

リモートネイティブ世代の心理的安全性を高めるコミュニケーション術

新型コロナウイルスが世界的に流行し始めてから1年以上が経過し、リモートワークはもはや当たり前の風景となりました。以前とは勝手の違うコミュニケーションに戸惑いの声が上がる例はいまだに少なくありません。

例えば、入社して日の浅い若手社員の心理的安全性を確保できているとあなたは自信をもって断言できるでしょうか?

Schooの授業『リモートワークで若手の心理的安全性を高めるには』では、『なぜ最近の若者は突然辞めるのか』(アスコム)などの著者であり、人材コンサルティング会社のシンクタンク「ツナグ働き方研究所」を主宰する、若者と組織コミュニケーションの研究家、平賀充記先生により、新入社員の心理的安全性を高めるべき理由からその具体的手法まで、まとめて解説されました。
この記事ではその一部を抜粋してお届けします。

目次

  • 新入社員はリモートワークにどのような印象を抱いているのか?
  • 2020年卒のもやもや感、3つのポイント
  • ディスプレイ越しのコミュニケーションの「3つの低」

 

 

新入社員はリモートワークにどのような印象を抱いているのか?

 

 

「リモートワークでもやもやしていることってありませんか?」と平賀先生。リアルタイム受講生からは「コロナ禍なのに若手社員が辞めてしまって残念」「ビデオ通話で話しかけるタイミングに遠慮してしまう」「リモートワークで相槌やいい反応ができない」といった声が寄せられます。

 

その意見を受けて平賀先生がまず展開するテーマが「リモートワーク世代を理解する」。リモートワーク世代(リモートネイティブ)とはコロナ禍を理由にリモート化が急速に進んだ2020年から社会人デビューした人々のこと。感染防止のためやむなく開始されたリモートワークですが、パーソル研究所の調査によると継続を希望する人は78.6%と多数派です。とはいえ、「コミュニケーションの課題というのも結構ありまして……」と先生。

 

 

 

同じくパーソル研究所の調査によると、リモートワークの不安として「非対面のやりとりは相手の気持ちがわかりにくく不安」と回答した人は、昨年4月で32.2%、昨年5月で39.2%。また、「上司や同僚から仕事をさぼっていると思われていないか不安」と回答した人は昨年4月で30.2%、昨年5月で34.8%でした。

 

また4月から5月にかけて「上司から公平・公正に評価してもらえるか不安26.7%→31.4%)」、「成長できるような仕事を割り振ってもらえるか不安(21.2%→23.4%)」「将来の昇進や昇格に影響が出ないか不安(19.0%→20.4%)」など、より将来を見据えた項目の不安感が高まる様子が見られました。

 

 

 

さらに、年代別に見たとき「若手ほど心理的安全性が低い」こともデータに表れています。

 

要するに若手はリモートワークにポジティブな反応を示しているものの、同時に大きな不安を覚えているという傾向があります。そして、入社からリモートで仕事を覚えることが主となった2020年卒、説明会や面接からオンラインを経験した2021年卒、そして大学の授業ですでにオンライン環境が当たり前になりつつある2022年卒~と、リモートネイティブ世代は着実に育ってきているのです。

 


2020年卒のもやもや感、3つのポイント

去年の新卒が抱いているもやもや感として先生がピックアップしたのが、以下の画像の吹き出しです。

 

 

 

ほかにも「会社独自のルールが分かりづらい」「同期と会う機会が少なく連帯感が湧きにくい」「どのように評価されたのか感じにくい」「仕事でわからないことがあっても質問できずに、ひとりで抱え込みがち」など、新入社員が抱いているであろう不安は無数に挙げられます。

 

これらを平賀先生は以下の3つのポイントにまとめます。

 

【1】強い孤独感:信頼関係・帰属意識の欠如、会社のカルチャー浸透課題
【2】低い成長実感:実際のスキル取得課題、ヒューマンスキルの欠如
【3】低い自己有用感:メンタルリスク・離職リスク・後輩への指導力・影響力不足

 

 

 

さらに20代前半のZ世代にはベースとしてSNSのムラ社会的文化に適応した、「過剰忖度」「相対的自意識」「イミ漬け」「時間価値」などの特徴が存在します。そういった世代には「十分すぎる目的注入」「会話量は1.2倍増量」「役割外行動・組織市民行動の意識づけ」などの、対処が求められるとのこと。リアルタイム受講生からは「Z世代と仲良くなるにはどうすればいいんだろう?」と疑問のコメントが寄せられました。

 


ディスプレイ越しのコミュニケーションの「3つの低」

「ディスプレイ越しのコミュニケーションの3つの低」として先生が紹介するのが以下の3ポイントです。

 

【1】会話の快適さが低い
【2】相手を理解できた感が低い
【3】相手への好意度が低い

 

「1→2→3」という順で連鎖的に、これらの困りごとは発生します。話者の交代を視線でコントロールしているヒトは、視線をあわせるのが難しいディスプレイ越しでは会話のキャッチボールに不便を感じてしまうのです。また相手に話が伝わった感覚である「伝達感」はオンラインでは対面よりも低くなります。その結果、人は自身が能力を発揮できていると感じられず、その理由を会社や話し相手に求めるため、相手への好意度が低くなってしまうのです。

 

 

 

このような問題点を受けて先生が掲げるのが「1on1を極めるしかない」という主張です。オンライン上の会話で重要なのが“構造化”。自由に言葉を交わす会話のキャッチボールではなく、どちらがイニシアチブを握っているのかをはっきりと意識し、ターンを入れ替えるようにやり取りを進めるだけで、「やりやすさは大きく変わってくる」と先生は語ります。

 

ただし、「1on1の重要性」がこれまでにも叫ばれてきたにもかかわらず、それほど浸透が進んでいないのには「毎回雑談で終わってしまう」「なんでもはなしてよいといってはいるものの率直に話すと嫌な顔をされる」など、それなりの理由があります。そこで先生がみなさんに託す武器が「4step・3stance・3skill」。それぞれの内訳は以下の通りです。

 

【4step】
1.前回振り返り・テーマ決め
2.部下の話を聞く
3.アクション確定
4励ましとサポート

 

【3stance】 1.部下のための時間
2.行動と学習を促進
3.協働的に進行する

 

【3skil】
1.ティーチング
2.コーチング
3.フィードバック

 

この中でも大事なこととして先生が取り上げたのが「傾聴すること」と「成長を促すためのフィードバック」。単にほめればよいというわけではなく、適切な目標設定をしたうえで、最低限のルールを定めて自立的な行動を促し、最終的にプラス面・マイナス面の両方を的確に伝えることが必要になります。リモートの利点として、部下の行動がすべて把握できなくなった分、マイクロマネジメントが自動的に防げるという意外なものがあると平賀先生は話します。もちろん、その分最後のフィードバックを手厚く行うことは欠かせません。

 

ここから話題は、フィードバックを上手に行うための「S・B・I」へ移りました。それぞれどのような意味を持つ英単語の頭文字なのか、ぜひ実際の授業動画で確認してみてください。

 

動画では、リアルタイム受講生との質疑応答やリモートで求心力を高めるための工夫についても具体的に解説されています!

 

文=宮田文机

今回取り上げたSchooの授業はこちら!
『リモートワークで若手の心理的安全性を高めるには~リモートワークならではの新入社員の課題とサポート体制~』

 

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