“学びたい”を刺激するメディア。

2021.11.08

column

「経済格差はアベノミクスで広がった」は誤り!? 田中先生が考える今後の日本に必要な経済対策の形とは

「経済格差はアベノミクスで広がった」は誤り!? 田中先生が考える今後の日本に必要な経済対策の形とは

10/31、日本の未来を左右する衆議院選挙が行われました。自分が住んでいる地区の候補者や政党の公約を見比べ、誰に投票するべきか迷っている人も多かったのではないでしょうか。

10/22(金)に放送された『田中秀臣の最新経済ニュース(2021年10月号第2回)』では、今回の衆議院議員選挙の目玉政策と言われている“給付政策”に触れられました。講師を務めるのは経済学者の田中秀臣先生です。

昨年一律で支給された10万円と似た給付政策を、各党が公約として前面に出していますが、いったい各党は誰を対象に、どれくらいの額を支給しようと考えているのでしょうか。そもそも各党が「給付政策」を掲げている理由とは? 給付政策について詳しく知りたい方におすすめの授業となっています。

目次

  • 各党が給付政策を掲げる理由
  • 先生が考える今後の日本に必要な経済対策

 

 

各党が給付政策を掲げる理由

授業の冒頭、先生は各政の給付政策について触れました。以下のスライドを見ると、各党によって給付金の対象者と金額が大きく異なっているのが分かります。

 

 

 

例えば、自民党は給付金の対象者を「非正規雇用者」と「子育て世帯」に絞っているものの、金額は明確に打ち出してはいません。一方、立憲民主党は対象者を「低所得者」と表記していますが、金額は「年額12万円」と明確に打ち出しています。れいわ新選組にいたっては、国民1人に毎月20万円給付すると打ち出しているようです。

 

ただなぜ、今回の衆議院選挙で給付政策が掲げられているのでしょうか。田中先生曰く、その要因は「『アベノミクスによって日本の経済格差が広がった』という誤った認識」にあるそうです。エコノミストの永濱利廣さんも「各党が分配政策を打ち出しているのは、アベノミクスで格差が広がったという誤った前提も背景にあるのだろう」と分析しているとのこと。

 

本当にアベノミクスで経済格差は広がらなかったのでしょうか。先生は、以下の図を用いてその根拠となる部分の説明を加えます。

 

 

 

先生が取り上げたグラフには、ジニ係数を用いて経済格差の推移が載っています。ジニ係数とは所得の格差を示す指数のこと。0に近づけば経済格差が無い状態とされ、0.1、0.2と数値が上がれば経済格差が広がっていると判断されます。ちなみにピンク色の棒グラフは、政府が税制や補助金で国民に再分配する前の経済格差の値を、青色の棒グラフは再分配後の経済格差の値を表しており、赤い折れ線グラフは経済格差の改善度の推移を表しています。

 

授業内で先生が着目したのは、2008年以降の青色の棒グラフの推移でした。見てみると、ジニ係数は2008年から2011年の間に上昇するも、2014年からは下降しています。与党が民主党から自民党に変わり安倍政権が発足され、アベノミクスが始まったのは2012年12月ですから、アベノミクスの時期に経済格差は広がっていないことになるのです。

 

また「安倍政権になってからは、子どもがいる世帯の貧困率や子どもの貧困率も下がっている」と語る先生。実際に先生が用いたスライドを見ると2012年から2015年の間で、子どもの貧困率は16.1%から13.9%に、子どもがいる現役世帯の貧困率も15.1%から12.9%まで下がっているのがわかります。

 

 

 


先生が考える今後の日本に必要な経済対策

各党が打ち出した給付政策に対して「限られた層に10万円程度では大胆さに欠け、五十歩百歩だ」と語る田中先生。そして授業内では、先生が考える日本の経済対策について触れていきます。

 

まず前提として語られたのは、経済対策は「感染拡大期」と「感染収束後」で分けなければいけないという点でした。なぜなら、感染拡大期は緊急事態宣言によって物理的に消費を促せないためです。確かに感染者数が多かった時期は、休業店舗が多く旅行にも行きにくい状態でした。

 

では感染拡大期にはどのような経済対策が良いのでしょう。田中先生は「誰もが家にいながらも生活できる経済対策が必要」と語ります。具体的には、低所得者層向けの持続的な定額給付金(毎週1万円、1年継続)を支給するのが良いとのこと。

 

 

一方、「感染収束後には消費を促す景気刺激対策が良い」と語る先生。具体的には、消費減税、マイナポイントやGoToトラベルによる消費喚起、などが挙げられました。特に消費減税は感染収束後に行なえば景気を刺激しやすいとのこと。また消費減税の代わりに給付付き税額控除などを実施するのも1つの手段だそうです。ちなみに先生は、消費減税に関して以下のような話を付け加えます。

 

「よくSNSなどで、『ドイツやイギリスのように日本でも感染拡大期に減税して消費を促すべきだ!』とおっしゃる方を見かけます。しかし、そもそもドイツやイギリスが消費税率を減らしたのは、感染拡大期における国民の生活を支援するため。しかも感染収束後には税率を元に戻しています。なのでドイツやイギリスが行なった消費減税は、景気刺激にまったく貢献していません。主旨が異なるので混同しないようにしましょう」

 

文=トヤカン

今回取り上げたSchooの授業はこちら!
『「田中秀臣の最新経済ニュース(2021年10月号第2回)」―各党給付政策の誤解 ガソリンも灯油もいろんな価格上昇とリアル・イカゲーム―』

 

おすすめ記事

本日の生放送

ペンシルからのプッシュ通知を設定しておくと、新着記事のお知らせなどをブラウザ上で受信できて便利です。

通知を受信しますか?