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Dec.

2018年11月21日 公開

何を学べば麻野耕司さんのようになれるのか(株式会社リンクアンドモチベーション 取締役)

「世の中のすべての人を“精神的に豊かに”したい」——何を学べば、リンクアンドモチベーション、麻野耕司さんのようになれるのか?

学びのエッセンス

  • 人事の仕事は、お金ではなく、“人生を賭けてもらう”仕事
  • 「モチベーションエンジニアリング」という技術を使って、世の中の人を“精神的に豊かに”する
  • 大事なのは「自分探し」より「自分創り」
  • いい組織は、「全体の成果」と「個人の欲求」を同時に満たしている
  • ひとつの組織で、みんなを幸せをすることは不可能に近い。それぞれが幸せになれる組織がたくさんある状態が社会的にいいこと
毎週水曜22時から生放送している「何を学べば○○さんのようになれるのか(通称なにまな)」。学び続けることで自分らしい生き方を切り開く20人に、 スクーアナウンサー中田有香と受講生が直接問う30分の授業です。

今回は、「これからの日本を変える経営者50人」にも選ばれた、株式会社リンクアンドモチベーション取締役、麻野耕司先生の授業で語られた人生の転機や挫折から得た学び、これから目指す先についてご紹介します。

麻野 耕司 先生

株式会社リンクアンドモチベーション 取締役

中田 有香

受講生代表

学びノート

SESSION人事コンサルタントから、「自社」の人事に。正直 “向いてない”と思った

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麻野さんは、株式会社リンクアンドモチベーションに、大学卒業とともに入社されて。今年、入社16年目ということですね。大手商社を辞退して。

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随分、昔の話ですね。

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これがまさにやりたいことだという熱い志を持って入社されて、今に至ると思うのですけれども。ちょうど、今年の7月に、週刊現代の、これからの日本を変える経営者50人にも選ばれましたよね。おめでとうございます。

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ありがとうございます。

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今日は、メディアなどでも引っ張りだこのリンクアンドモチベーションの麻野さんについて、伺っていきたいと思います。よろしくお願い致します。 

では、まず、過去や今後について。麻野さんの人生の転機にあたる時期から伺っていきます。いつ頃になるでしょうか。

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そうですね。いろんな転機があるんですけれども。

僕は、新卒で入社して3年目のときに今の会社、リンクアンドモチベーションの人事に異動になったんですね。そのときの経験が一つの転機になりましたね。

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入社されてすぐは、現場で働いていらっしゃいましたよね?

1488

そうですね。現場で、組織人事コンサルタントとして仕事をしていたんですが、「自社の人事をやってください」と、代表から言われて異動したのが転機になりましたね。

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でも、3年目というと、ちょうど2年間やって、やっと現場に慣れてきたかなとか、固定のお客さんがついてきたりとか、信頼関係が生まれてくる時期ですよね?

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めちゃくちゃ良い振りをしますね(笑)

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そのとき、どういうお気持ちでしたか?

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僕は、やっぱり、この組織人事コンサルタントになりたいと思って、新卒でリンクアンドモチベーションに入社したので、

異動の内示をもらったときは、めちゃくちゃ嫌でしたね。「うわー、俺、コンサルタントとして組織を変革しようと思っていたのに。」と。言葉が悪いんですけど、新卒採用のリーダーをやれと言われたので、「これから学生の相談とかにのるのか…。嫌だなあ。」って。

人の話とか、あまりきちんと聞けるタイプじゃなかったので。向いてないんじゃないかなと思いました。異動を聞いたときは、すごく嫌でしたね。人事にあるまじき態度だと思います(笑)

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やはり、現場で働きたいという気持ちがあったんですか?

1488

そうですね。それが大きかったですね。

27

そんなきっかけで、新卒採用リーダーへの異動があり、結果、良い方向に変わっていったということなんですよね。

SESSION人事の仕事は、お金ではなく、“人生を賭けてもらう”仕事

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そうですね。今の自分のミッションとか、ビジョンが育まれたのが、新卒採用のリーダーをやった経験だったんです。最初は嫌だなと思っていたんですが、やるうちに、すごく意義深い仕事だなと、まず思うようになりました。

要は、現場で仕事をしていたときは、リンクアンドモチベーションのことを語って、クライアントからお金を頂いていたわけです。それはそれで、すごく尊いことなんですけど。やっぱり、新卒採用のリーダーっていう仕事は、学生の皆さんに、リンクアンドモチベーションを語って、お金ではなく、人生をかけてもらうような仕事なので。これは、ものすごく深くて重い仕事だなと、すぐに思うようになりました。

1488

新卒採用のリーダーとして、すごく大事だったことはやっぱり、優秀な人材に、リンクアンドモチベーションの魅力を伝えて、リンクアンドモチベーションを選んでもらう。リンクアンドモチベーションも、当時はまだ、無名のベンチャー企業だったんですが、

「身の丈を超えた優秀な人材を採用したい」という想いで、それこそ、外資系のコンサルティングファームであったりとか、リクルートさんであったりとか、そういう会社と競合しながら、「どうすればリンクアンドモチベーションを選んでもらえるだろうか」ということを毎日考えていました。

SESSION僕が考えたのは、「50年後の会社」を語ること。ソニーやホンダのような日本を代表する企業にする

1488

そのときに至った結論は、「そういうすごい会社と競って選んでもらうためには、未来を語るしかない」でした。とにかく、リンクアンドモチベーションの未来を語っていこうというのが、僕の新卒採用のリーダーとしての戦略でしたね。いろいろ考えて。当時、僕が考えたプレゼンテーションが、「50年後のリンクアンドモチベーションを語ります。」というプレゼンだったんです。

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50年後って、自分でもあまりよく分かっていないですよ(笑)でも、なんとなく、50年後。50年後のリンクアンドモチベーション。そのとき言ったのが、「50年後のリンクアンドモチベーションを、ソニーとかホンダみたいな会社にします。」という話をしたんです。

1488

僕の働いているリンクアンドモチベーションというのは、組織人事のコンサルティング会社で、その中でも、勘や経験でコンサルティングをするのではなく、確固とした技術に基づいて組織人事コンサルティングをしようという会社なのです。その技術が、モチベーションエンジニアリングと僕たちが呼んでいる、社会学や心理学を交えながら、社員のモチベーションを高めていくような技術です。

27

今でこそ、モチベーションって、すごく話題というか、重要視されていますけど。当時は、あまり、モチベーションを高めるための技術、そういったものはなかったですよね?

1488

少しずつ光が当たり始めていたときでしたね。2002年のワールドカップで、サッカー選手たちが、モチベーションという言葉をちょうど使い始めたくらいのときだったので。だんだん、モチベーションという概念が世の中に広まっているタイミングでした。

どういうところが、ソニーやホンダみたいな会社かと、僕が当時の説明の中で言っていたのかお話します。ソニーやホンダも、できたのが1940年代ですかね。戦後にできたベンチャー企業で。両方とも技術の会社で。創業者の本田宗一郎さん、井深さん、二人とも技術者でした。その技術を使って、製品を作って、届けて、世の中の人たちを物質的に豊かにするというチャレンジを、戦後の50年で成し遂げた偉大な会社である、と。

SESSION「モチベーションエンジニアリング」という技術を使って、世の中の人を“精神的に豊かに”する

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一方で、今、僕たちが生きている21世紀は。物質的には、すごく、日本は豊かになった、と。でも、まだまだ精神的に豊かになれていない。仕事が苦しいとか、職場がつらいとか、そういう人も世の中に溢れている。

そんな中で、僕たちも独自の技術、モチベーションエンジニアリングというのを使って、製品を作って届けることで、世の中の人を精神的に豊かにするというチャレンジを、これから50年やっていく会社だよ、と。50年後には、ソニーやホンダみたいな会社になるんだというプレゼンをするようになって。

27

ワクワクしますね!

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ありがとうございます。それで、学生さんに選んでもらえるようになったんですよね。最初は、優秀な学生を口説くために考えた、自分のミッションやビジョンだったんですけど。やっぱり、語っている中で、自分の中で根付くようになって。

語った以上は、必ず、これを形にしないといけないというようなことを思うようになりました。今の自分のミッションとか、ビジョンが培われたのが、その新卒採用のリーダーの経験でしたね。

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そこからビジョンを考えて語る力というのを培われていったんですね。麻野さんが、そちらを担当されるようになって、学生さんの人気企業ランキング、最高38位にまで引き上げたということで。やはり、発信力を高めるということもすごく意識されていたと思うんですが、どういったふうに意識をされていますか?

SESSION「モチベーション」にスポットを当てたオンリーワンの会社を目指す

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1つは、未来を語るという、時間軸の話なんですけど。もう1つは、空間軸で。やっぱり、人間って、この水がおいしいかどうかっていう絶対的な価値は、なかなか判断できないので。その水と比べておいしいかどうかという、相対的な価値しか判断できないと思うんです。

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やっぱり、リンクアンドモチベーションをどういう会社と、どういうふうに比べてもらうかということなんかは、すごく頭を使っていましたね。だから、単なる人事コンサルティング会社、研修会社というのではなく。その当時というのは、よく、オンリーワンという説明をしていて。

コンサルティングの中でもオンリーワン。戦略系の会社とか、IT系の会社とかあるけど。私たちは、モチベーションというものにスポットライトを当てたオンリーワンの会社だとか。あとは、人材系の中でもオンリーワン。採用の会社とか、研修の会社とかありますけど、その中でも、それらをリンクさせてやる会社は、リンクアンドモチベーションだけなんだ、と。

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なるべく、比べる会社を変えて。外資系のコンサルティングファームとか、リクルートを受けるような人に興味を持ってもらえるような立ち位置、ポジショニングというのは、すごく意識しましたね。

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立体感を持たせて、比べる対象をはっきりとさせるということなんですね。

1488

そうですね。

SESSION大事なのは「自分探し」より「自分創り」

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学生の皆さんとお話をする機会が多かったと思うのですけれども。この人事の経験を通して、自分探しよりも、自分を創る力を学んだということを伺ったのですが。それはどういったことですか?

1488

自分探しよりも自分創りというのは、この人事の経験というよりかは、今までの、まだまだ短い15年くらいのキャリアを振り返って思うことで。

要は、人事への異動というのも、僕、全然やりたいことじゃなかったんですよね。コンサルティングがやりたかったので。このあとの話にも繋がるんですけれど。現場に異動することになるんです、このあと。僕は、当時、このままこの会社で人事責任者になって、世の中の組織のモデルケースになるような組織を作る人事マンになろうと思ったタイミングで、また現場に行けと言われたので。

1488

それも、全然、自分のやりたいことではなかったんですけど。やってみると、そこから自分のやれることが広がったりとか、また新たなやりたいことが見つかったりしたんですよね。

だから、やりたいことが見つかった人は、おもいきりそれをやれば良いと思うんですけど。やりたいことを見つけないと、と思っている人、要は自分探しをしなきゃと思っている人がいたら、まずは自分に巡ってきた機会に本気で向き合ってやってみることで、そこから得られる能力とか、そこから得られる希望みたいなことが生まれてくると思うので。

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やっぱり、自分を探すことも大事なんですけど、自分を創っていく。やりたいことも、やれることも、育んでいくということがすごく大事だなというふうには、キャリア全般を通じて思っています。

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私が学生時代のときは、自分探しという言葉を、すごく耳にすることが多かったので。まず、今、できることをやってみるという、自分創りという考えは、すごく新鮮で。自分探し、でも何をしたら良いか分からない、何をやりたいか分からないという方は、たくさんいらっしゃると思うので、そういう方にも勇気を与える言葉だと思いました。

SESSIONほとんどの仕事は、できるようになるまで「つまらない」

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特に、若手のビジネスパーソンで、僕も当時、報告とか相談を受けていたんですけど。「やりたいことが見つかって、この会社に就職するんです。」と言って、就職して、1年くらい経つと、また僕のところに来て「ちょっと、これ、やりたいことじゃなかったので、転職することになりました。」と。また1年くらい経つと「やっぱり、これ、やりたいことじゃなかったみたいなので、また転職します。」と。ずっとやりたいことを追い求めているんですけど。

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自分探しをしていますね。

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はい。その人の、なんで仕事が楽しくないかというのは、その場合、その仕事をやりたいかどうかから来ているのではなくて、その仕事をやれなくて面白くないというケースが、特に若手のビジネスパーソンだと多いんですよね。

例えば、自転車に乗るとき。自転車に乗ると、風が気持ち良いとか、景色がひらけてくるとか、行きたいところに早くたどり着くとか、良いこと、楽しいことがいっぱいあるじゃないですか。でも、補助輪をつけて乗っているところから、外して、乗れるように練習しているときって、全然楽しくないですよね。風も吹いてこないし、どこにも早くつけないし、景色もひらけてこないし。

1488

でも、そこで「自転車つまんねぇな、一輪車に乗ろう。」と言うと、また一輪車に乗れるようになるまで、面白くないですよね。乗れない期間、頑張ってやって、乗れるようになると、自転車の楽しさが初めて分かるということもあると思うんですよね。

そうすると、仕事が面白くないときに、やりたいことを探すことも当然否定はしないんですけど。やっぱり、やれるようになるまで、ちょっと踏ん張って頑張るということも、大事なんじゃないかなと。そういうふうに、自分を創っていく感覚というのは、大事ですし。あとはいろいろな経験がないと、やりたいことにたどり着けないということもあると思うんですよ。

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やりたいことにたどり着くために、いろんな経験が必要なんですね。

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はい。僕は、今、組織とか、モチベーションというものを軸にして、投資をしたりとか、自分で新規事業を作ったりとかしているんですけど。今、僕はすごくやりたいことをやっているんです。

10年前の僕に「お前のやりたいことはなんだ?」と聞いても、それは出てこないんですよね。この10年間のいろんな経験の中で、こういうことをやりたいと思うようになった。

だから、キャリアの早いタイミングは、いろんな経験をしてみるとか、何でもおもいきりやってみるということが大事なんじゃないかなというふうには思いますね。

SESSIONリーマンショックの影響で組織も業績もガタガタに…

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なるほど。新卒で入ったあと、やりたいことじゃないと思ったけど、夢中になって、この道で進むんだと思った、麻野さんですが、そのあと、人生の挫折、くじけてしまった、それを乗り越えたというエピソードはありますか。

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そのあと、人事で新卒採用リーダーをやったあと、リーマンショックが起きたんです。業績も悪くなって、それを立て直すために、現場に異動になったんですよね。

これは、ぜんぜん望んでいない異動だったんでが、現場を立て直そうと思いました。当時、僕は、現場を簡単に立て直せると思っていた節があったんです。

僕は、戦略を考えたりするのがすごく好きで、人事のときも、その後、社長室で仕事をしたときとかも、割と戦略を考えるのが重要な仕事だったというのもありますが、現場を見たときに、「モチベーションの会社だからって、気合いとか、根性ばかりやっているな。俺が戦略を持ち込めば、すぐに業績は立ち直るよ。」と思ったんですよ。

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やる気に満ちていたんですね。

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そして、実際に現場に行ったんですが、2年くらい全く業績も上がらず、組織は崩れ退職は増え、みたいな感じで。逆に、僕がリーダーとして、僕の部門をボロボロにしちゃう2年間だったんですよね。

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それは、けっこう、自分としては大きな挫折でした。

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僕たちのサービスの中に、組織状態を測るサーベイがあります。それを自社でもやるんですよ。そのサーベイを採ると、僕のチームは、他のチームに比べて、すごくスコアが低くて…。

会社の満足度はそんなに低くないんです。仕事の満足度もそんなに低くないんです。職場の満足度もそんなに低くないんです。上司の満足度がすごく低いんですよ。

SESSION「皆のモチベーションを大切に」窮地を救った代表の一言

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それは…。

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つらいでしょ~。

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それはつらいですね。

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問題が僕なんですよ。代表と会長に呼ばれて「どうしたの?」と。状況を話したら、「1つだけアドバイスをやるよ。皆のモチベーションを大切にしろ。」と言われたんですよ。

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初心にかえるというか。

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リンクアンドモチベーションみたいな会社で、代表に呼び出されて、「皆のモチベーションを大切にしろ。」とフィードバックを受けるって、もう、死にたいですよ!(笑)

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そうですよね。今まで、モチベーションをやってきたんですもんね。それから、どのように乗り越えられたんですか?

1488

僕は、全然モチベーションを大切にできていなかったんですよね。どちらかというと、僕、あまり、自分が、モチベーションが下がったりしないタイプだったので。

割と、周囲の環境に影響を受けずに、モチベーションを保てるタイプだったので。あまり、モチベーションが下がるということが、リアリティを持って、イメージできていなかったんですよ。でも、モチベーションに向き合わないとだめなんだということに気づいた瞬間でした。

SESSION組織を変えるためには、まず自分が変わる。メンバーの「キャリアや人生に意義のある仕事」を

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そのサーベイを元に、メンバーで集まって。「これ以上、組織が良くならなかったり、業績が上がらなかったら、責任を取って辞めるしかないと思っている。俺も変わろうと思っているから、思っていることがあったら何でも言ってほしい。」と言ったんです。そしたら、皆、重い口を開きはじめて。

「麻野さんは、結局、僕たちのことをコマとしか思っていないですよね。」とか、「麻野さんは僕たちの話を聞く気なんて全然ないですよね。」とか。そういうフィードバックが返ってきたんですよね。

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それはつらいですね…。

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当時、僕も当然、「俺だって頑張ってやっているのに…」みたいな気持ちもゼロではなかったんですけど。状況的に、その声に向き合うしかなかったので。「変わろう。分かった。」と。

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「戦略のことだけじゃなくて、皆のキャリアとか、人生にとって、意義のある役割とか、仕事を考えていきたいと思う。」とか、「物事を進めるときに、自分の考えだけじゃなくて、皆の考えもちゃんと聞いて、考えていこうと思う。」とか、そういう話をして。自分でそうできるように取り組んだんですよね。

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そしたら、不思議なもので。今まで、あれだけ戦略を語っても、皆が実行してくれなかったんですけど。皆が、びっくりするくらい、やってくれるようになったんですよね。たぶん、良いメンバーたちが揃っていたというのもあると思うんですけど。

SESSION社員のモチベーション向上に重要な、たった2つのこと

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僕が、特にその経験から学んだこと。二つあると思っていて。

一つ目は、自分と他人は違うということを知ることですね。意外と、皆、自分と他人は一緒だと、どこかで錯覚していて。そこから、モチベーションダウンが起きたりするんですよ。

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僕が、特にその経験から学んだこと。二つあると思っていて。

一つ目は、自分と他人は違うということを知ることですね。意外と、皆、自分と他人は一緒だと、どこかで錯覚していて。そこから、モチベーションダウンが起きたりするんですよ。

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例えば、僕は達成思考が強くて、割と一番になりたいと思っているけれども。自分のメンバーは、もしかしたら、探求思考が強くて、なぜということが分からないと動けないかもしれない。そういうとき、例えば、同じ営業チームで、「よし、今回の目標を達成して、達成率1位を目指して頑張ろうぜ!あのチームには負けずに頑張ろうぜ!」と話して。

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僕はモチベーションが上がるんですよ。達成意欲が強いから。

でも、探求思考が強い人は「なんで1位になる必要があるんだろうか…」と心の中で思ったりする。

こういう、それぞれの思考とか、行動の特性、モチベーションの源泉が違うんですよね。でも、一緒だと思って関わっちゃう人がすごく多いんですよ。

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無意識だけどありますよね。

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はい。だから、自分と他人は違うということを、まず知ることです。

次に、その前提を知った上で、相手はどんなことでモチベーションが上がって下がるのか、ということをちゃんと知るということがすごく大事だと思いますね。そうすると、お互いの関わり方というのが変わってくるんですね。

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それぞれ、一人一人の、どういうことにモチベーションが上がるか、下がるか、というのをしっかりと知るということ。

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そうですね。それはすごく大事だと思いますね。自分と他人は違うということを知ること。相手の考えていること、思っていることを知ること。この二つですね。

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自分と他人が違うのは当たり前と思いがちだけど、無意識に…。

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いや、同じように振舞っていること人が、すごく多いです。

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そういうことで、衝突が生まれたりしますからね。

SESSION皆のモチベーションを大事にしたら、一気に業績が回復した

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そういうふうに変わろうとする僕を見て、「ああいうふうにやってくれるんだったら俺らも変わろう」というふうに、皆、思ってくれて。今までは、わーわー怒って、ぜんぜん戦略を形にできなかったのが。

皆が、自ずと、戦略を形にしてくれるようになって。そこから、びっくりするくらい業績が上がって。その前は2年間、売上を全く増やせなくて。

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むしろ、僕、落としちゃったんですよ、その前は。

そこから、今までの5年間で、10倍以上の売上になって。下がったことは1回もないというくらいの業績。組織状態も、サーベイのスコアも、すごく良くなって。

改めて、こんな会社の幹部が、そんなことをこんなタイミングで言っちゃだめなんですけど、「モチベーションって大事なんだなあ。組織って大事なんだなあ。」と気づけた瞬間でしたね。

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改めて、身をもって、実感されたんですね。今、ご覧になっている方の中では、社員のやる気をアップさせるには、モチベーションを上げるにはどうしたら良いんだと考えている方もたくさんいらっしゃると思うんですけれども。そういった経験を通して、社員のモチベーションを上げるために、何が重要だと思いますか?

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二つですかね。もちろん、いっぱいあって。パッと今ここで全部言えちゃったら、うちの会社は存在していないですけど。

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いろんな要素があると思いますが。

SESSION組織を通して、すべての人々を幸せに

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最後に、麻野さん、リンクアンドモチベーションのこれから、未来について、伺っていきたいのですが。どんなことを成し遂げたいか、ビジョンを教えてください。

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僕は、組織というものを通じて、すべての人々を幸せにしたいなと思っています。人間って、いろんな幸せがあると思うんですよ。おいしい食事をして幸せとか、面白い映画を見て幸せとか。でも、やっぱり、組織を通じて何かを成し遂げる喜びとか、組織を通じて誰かと繋がる喜びって、かけがえがないなと思うんです。

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でも、一方で、人間を不幸にするのも組織だと思います。それこそ、職場の人間関係が苦で、自ら命を絶ってしまうような人までいるわけですよね。

これたぶん、人類が昔から悩んできたことで。おそらく、古代エジプトでピラミッドを作るときから、王様は民衆に「なんでこいつらはちゃんと石を運ばねぇんだ」って思ったと思いますし。民衆は王様に「なんで俺らが石を運ばなきゃいけねぇんだ」と思ったと思うんですよね。

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これは、ずっと人類が抱えてきたことなので。僕は、この組織の理を解き明かして、モチベーションエンジニアリングという技術で。その組織を通じて、人々が幸せになる技術をこの世界に残すことで、ちょっとは世の中が良くなることに貢献したいなというふうに思っていますね。

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だから、このモチベーションエンジニアリングを広めていきたいと思っていますし。特に、今は、コンサルティング事業にも、非常に誇りを持って取り組んできたんですけど。

やっぱり、コンサルティング事業は、コンサルタントの数だけでしか組織を変えていけないので。そうじゃなくて、クライアントが自分自身で組織を良くしていけるようなツールを作って届けようということで、今、モチベーションクラウドというプロダクトを作って、やっているんですけど。

やっぱりそれを、もっともっと良いプロダクトにして、もっともっと多くの方に届ける。それで、全ての組織を変える。組織を通じて、人々を幸せにする。それが、僕のやりたいことですね。

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コメントも本当にたくさん来ています。

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10年以上前、リンクアンドモチベーションさんの研修を受けましたが、今でもよく覚えているほど、インパクトがありました。

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新卒入社から、その会社で、上場企業の取締役になるって、本当にすごいことだ。

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質問も本当にたくさん来ております。

SESSIONいい組織は、「全体の成果」と「個人の欲求」を同時に満たしている

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麻野さんは、どういった組織が皆を幸せにできると思いますか?ホラクラシー型組織だけだと、スケールするのが難しいかなと思ったりもするのですが…。

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これは、すごく重要な質問だと思うんですけど。どういった組織が皆を幸せにできると思いますか。けっこう、組織論で語られるのは、そのプロセスなんですよね。

よく、ホラクラシー型組織というのは、主には組織構造、いわゆる組織編成の在り方を表していて。どういうふうに階層を作って、どういうふうに権限を与えて、みたいな。

いわゆるピラミッド型とか、ヒエラルキー型というものと、フラット型とか、ホラクラシー型って、すごく大雑把に分かると、そういう二形態で。どっちが組織として正しいかっていう議論が、皆、すごく好きなんですけど。答えはないです。

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どんなビジネスをやるのか。どんなメンバーがいるのか。どんな商品市場の環境に置かれていて、どんな労働市場の環境に置かれているのか。経営者がどんなことが好きなのか、嫌いなのか。それによって、どういう組織形態を作るべきかというのは変わってきます。

大事なことは、それらをちゃんと一貫性、整合性を持たせることなんですけど。

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僕は唯一、組織で共通して大事だと思っていることがプロセスではなくて、アウトプットで。

全体の成果と、個人の欲求を、両方とも満たしていくということですね。組織って、そもそも、個人ではできない何か大きなことを成し遂げたりするために作られているわけです。

だから、作ったときに、成し遂げようと思った全体の成果というものを、当然、追究していかないと。それは組織じゃなくて、ただの集団なので。全体の成果の追求、これはすごく大事です。

一方で、人で構成されているものなので。その人たちがやりたいというふうに思わなかったら、成し得ないことなので。個人の欲求を、ちゃんと、組織を通じて満たしていくという。

この二つを同時に実現するというのだけが、全ての組織に共通して、僕は大切なことだというふうに思っていて。だから、難しいんですよ。コンフリクトするので。

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例えば、甲子園で優勝すると決めて。セカンドがいないとなったときに。皆がセカンドはやりたくないとなって、その個人の欲求を曲げなかったら、試合に出られないですよね。

「本当はショートをやりたかったけど、皆のためにセカンドをやるか。」というような、全体成果の追求というのはいるんです。でも、何も、自分たちがやりたいこととか、聞いてもらえなくて、コマのように扱われていたら。それはそれで、「この部活をもうやめようか。」となっちゃう。

だから、全体の成果の追求と個人の欲求。これを常に同時実現させないといけない。僕たちが会社でよく使う言葉、組織の目指すべき状態としているのが、「One for all. All for one.」という言葉で。

One for allというのは、一人が全体のために。All for oneというのは、全体が一人のために。これを同時に実現していくということが、組織としてはすごく大事なのかなと思っています。

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「One for all. All for one.」って、何気なく口にする機会もあるかもしれないんですけれども。

1488

ちょっとくさい言葉でしょ?

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でも改めて考えると、本当に難しいですね。

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本質的な言葉だと思いますね。

SESSIONひとつの組織で、みんなを幸せをすることは不可能に近い。それぞれが幸せになれる組織がたくさんある状態が社会的にいいこと

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組織が大きくなってくると人数が増えると思いますが、全ての人を幸せにすることはできるのでしょうか。もしくは、できないけど不幸にはしないということはできますか。どのようにお考えか、お聞きしたいです。

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皆さん、深い質問をしますね。本当にそうですよね。僕も、偉そうに言っていますけど、日々悩みながらです。日々、いつも、全体の成果の追求と、個人の幸せの間で、悩んでいますけど。

僕が思うのは、一つの組織で、全ての人を幸せにするのは、絶対にできないですね。

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ただ、大事なことは、この組織ではこういう人は幸せになれる、というのを明確にすることだと思うんですよね。この組織ではこういう人が幸せになる。

でも、別の組織では、ああいう人を幸せにできる。それぞれの組織が、ちゃんと、自分が幸せにできる人を明確にして、それに合った人がくる。

世の中全体で見たら、いろんな人が幸せになれるように、いろんな組織があるという状態が大事なんだと思っているんですよ。

例えば、マッキンゼーで働いて幸せな人と、ディズニーランドで働いて幸せな人って、なんか違う感じがしません?

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はい。

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マッキンゼーの人がディズニーランドに行ったら、幸せに働けないかもしれないし。でも、ディズニーランドの人がマッキンゼーに行ったら、幸せに働けないかもしれない。

ということで言うと、一つの組織で、誰しも全員を幸せにするというのは、たぶん、無理です。ただ、社会全体で、1個1個の組織で、ちゃんと幸せにできる人を明確にして、しっかり幸せにしていけば、社会全体としては幸せになるんじゃないかなというふうに思っています。

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企業が皆をではなくて。社会全体で皆を幸せにしていくというお考えなんですね。

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そうですね。

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それでは、本日の授業は以上となります。お越しいただきました先生は、株式会社リンクアンドモチベーション取締役、麻野耕司先生でした。ありがとうございました。

1488

ありがとうございました。

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今日の授業の中でお伺いした学ぶべきこと、身につけるべき能力については、ぜひ、皆さんも、ビジログで学び始めてみてください。

2018年11月21日 公開

本日の生放送

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