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2021.10.07

Column

「100年安心プラン」ってどうなの?年金制度が抱える問題と自民党総裁選候補者の考え

「100年安心プラン」ってどうなの?年金制度が抱える問題と自民党総裁選候補者の考え

菅総理の辞任表明から約1カ月、次期総裁をめぐる闘いが行われていた最中である9月24日に放送された本授業『田中秀臣の最新経済ニュース(2021年9月号 第2回)』。

9月号第1回に引き続き、自民党総裁選候補者の思想を経済的な観点から触れていきます。講師を務めるのは、経済学者の田中秀臣先生。

今回、授業のメインテーマとなったのは“年金制度”についてです。Schooを受講している方もそうでない方も、「自分が高齢者になったとき、はたして年金はもらえるのか」と不安に感じている人は多いはず。本授業では、そんな年金制度が抱える問題や年金制度に関する次期総裁候補の考えを詳しく知ることができます。

それでは、授業の内容を一部抜粋してご紹介。
※9月29日に自民党総裁は岸田文雄氏に決定

目次

  • 100年安心プランと総裁候補者の発言から見られる齟齬
  • 現・年金制度から想像する未来は、シャレにならないくらい深刻!?

 

 

100年安心プランと総裁候補者の発言から見られる齟齬

そもそも年金問題の何が問題で、何が論点なのでしょうか。先生は授業の冒頭、その点について触れます。まず論点の中心となるのは、小泉政権時代に構造改革主義の遺産として継続されている「100年安心プラン」。このプランには、以下4つの方針があるとのこと。

 

方針1.将来にわたって保険料を引き上げ続けることを止める

方針2.約20年間で2割程度の年金カット

方針3.基礎年金への税金投入の増額

方針4.積立金の早期取消し

 

方針1を100年プランに組み込んだ要因は、高齢者への年金給付額を増やすと若い世代が支払う保険料も増えて、彼らの負担が大きくになってしまうためです。ただこの方針、いまの日本の現状を踏まえて考えると実質的に「高齢者への年金給付金減額」に繋がると先生は語ります。理由は、現代日本が少子高齢化の時代をむかえているため。

 

いくら年金給付額を増やさないように努めても、高齢者の人口が増えれば年金の給付総額は増えます。一方、若い世代が支払う保険料は、人口減少によってどんどん負担は重くなる。所得の大部分を保険料や各種税金でとられる未来がきてしまう。100年安心プランは、そのような状態を回避するべく作られたものであり「年金給付額と若い世代の負担を同時に減らす」という意図があります。

 

 

ただ方針3「基礎年金への税金投入の増額」に関しては、別の角度から問題が生じていると語る先生。それは、総裁候補だった河野太郎氏が年金問題について述べた「基礎年金(=国民年金)を全額税方式にして、最低保障年金を創出する」という発言がきっかけだそうです。

 

先生曰く、河野氏の発言は100年安心プランの方針とはまったく逆とのこと。彼は国庫負担額を引き上げて年金給付額を増やそうと考えており、かつその財源は消費税増額で賄おうとしているそうなのです。もちろん消費税率がれば、国民の負担が大きくなるのは必然。

 

特に消費税での全額税方式だと、低所得層に悪影響が出てしまい、河野氏が問題視しているような国民年金に依存している人たちの生活をむしろ悪化させてしまいます。さらに基礎年金を充実しようとすればするほど、将来の若い世代の負担が増えてしまう。この点から河野氏の発言と100年安心プランに齟齬が生じていることがわかります。

 


現・年金制度から想像する未来は、シャレにならないくらい深刻!?

「100年安心プラン」は、給付される年金が少しずつカットされていくものの、若い世代の負担を減らす制度であることがわかりました。しかし先生は「実際はうまくカットできていない状態にある」と語ります。その理由は、マクロ経済スライドに適用されてている名目下限ルールによってスライド調整がうまくいっていないからとのこと。

 

 

そもそもマクロ経済スライドとは「その時の社会情勢や経済状況に応じて年金の給付額をカットする仕組み」を指します。上の写真は、それぞれの状況に応じた年金の調整率を表したもの。賃金や物価が上昇した場合は給付の伸びが抑制され、逆に伸びが小さい場合はスライド調整が限定的になり、下落した場合はスライド調整の効果がなくなるという特徴があるのです。

 

では、名目下限ルールとは何か。これは「マクロ経済スライドによる調整によって年金額が“前年度よりも減額”した場合に額が据え置かれる」というルールのこと。

 

 

これはつまり、賃金や物価の状況によっては常に一定の金額で年金が給付されるということで、100年安心プランのメイン方針である「年金給付額の段階的なカット」を妨げる要因になっているのです。現に、先生が提示したマクロ経済スライドの効果を表したグラフを見てみると、給付額のカットが予定通りに進んでないことがわかります(グラフ内、オレンジ色の線が予定の推移、青色が現状の推移となる)。

 

若い世代の負担を軽減させ、かつ未来の高齢者の年金給付額を0に近づけさせないための政策「100年安心プラン」はうまく機能せず。そして少子高齢化によって年金給付の総額は増え、若い世代から支払われる保険料の負担が急増する時代……。先生は、このような現状が続いた先に見える未来は「シャレにならないくらい深刻」と語ります。

 

先生が語る「深刻な未来」とはいったい?また、そんな深刻な未来を回避するために先生が考える政策とは?詳細は、実際の授業で確認してみてください。

 

授業後半では、最近話題になっている中国恒大問題についても触れられています。中国恒大機器は日本や世界にどのような影響を及ぼすと考えられるのでしょうか?こちらもぜひチェックしましょう!

 

文=トヤカン

 

今回取り上げたSchooの授業はこちら!
『田中秀臣の最新経済ニュース(2021年9月号 第2回)』ー自民党総裁選と中国の影ー

 

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