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2021.07.12

column

「人生100年時代の社会人基礎力」リフレクション(内省)の習得法

「人生100年時代の社会人基礎力」リフレクション(内省)の習得法

みなさんはリフレクション(内省)という言葉を知っていますか?

自分自身の経験を学びに帰るために欠かせないスキルであり、経済産業省が提案する「人生100年時代の社会人基礎力」にも盛り込まれています。

その重要性をプレゼンテーションしたのが、21世紀学び研究所代表理事の熊平美香先生。Schooでは、自分と世界を幸せにするために学び続ける「自律型人材」を増やすことをミッションとする熊平先生を講師として迎え、リフレクションの技術について学ぶ授業『すべての経験を学びにする「内省」の技術』を開講しました。これからの時代も活躍し続け活力を持って生きていくための技術の一端を、この記事では紹介します。

目次

  • “夢をかなえるツール”リフレクションを知っていますか?
  • リフレクションの5つの基本メソッドとメタ認知力を高める4点セット
  • モチベーションが高まるときには“動機の源”が存在する

 

 

“夢をかなえるツール”リフレクションを知っていますか?

 

 

そもそも自律型人材は「自ら定めた目的を実現するために学び続ける人」と定義されます。「自立型人材は、ありたい姿と現実のギャップを埋めるために、自己と向き合い、境界線を越える学びを通して、自己とチームの潜在的な力を開花させる」と熊平先生は説明します。

 

「リフレクションは一人でやるものというイメージが強いと思うんですが、実はみんなでやった方が、効果が高い」と先生。授業で基本を身につけられたら、ほかの人にも広めてともに実践できると良いですね。

 

ここで先生からリアルタイム受講生に「みなさんが、夢や願いを叶えるために意識的にやっていることを教えてください」と問いかけが。このような質問がされたのは、リフレクションは“夢をかなえるツール”と先生が考えているからです。受講生からは読書といった回答が寄せられました。

 


リフレクションの5つの基本メソッドとメタ認知力を高める4点セット

リフレクションの基本メソッドが以下の5つです。

 

1.自己を知る
2.ビジョンを形成する
3.経験から学ぶ
4.多様な世界から学ぶ
5.アンラーンする

 

上記は実践するには先生曰く「OSをアップデートする」必要があり、そこで求められるのが「リフレクション」と「対話」です。

 

リフレクションは未来を創造する力であり、自己を客観的かつ批判的に振り返る行為です。「物事に対して、これまで通りのやり方やモノの見方をそのまま適応するのであれば実はリフレクションは必要ありません」と熊平先生。しかし、批判的なスタンスで経験をとらえなおし、学びを得ることで考え行動することが未来を切り開くことにつながります。そのため、自分の内面と向き合うリフレクションが必要になるのです。

 

自分の内面だけでなく、他者や世界、時代と向き合うことも人間にとって不可欠な要素です。そこで自分の枠の外に出る力である「対話」が重要になってきます。自身の評価・判断を保留にして、多様な世界に共感することで枠の外に出ることは可能になります。

 

 

 

リフレクションと対話という難しい行為の質を担保するうえで重要な能力として熊平先生は、自分の意見、経験、感情、価値観を客観視する“メタ認知力”を掲げます。メタ認知力を高めるためにはどうすればよいのでしょうか?
武器となるのが以下の4点セットです。

 

1.意見
2.経験
3.感情
4.価値観

 

まず意見を見据え、その背景にある過去の経験を振り返ります。さらに経験に紐づいた感情を掘り起こしましょう。そこからあなたが大切にしている価値観が見えてくるはずです。

 

例えば「犬」を見た時とき、犬が好きなAさんは「昔から犬を飼っている」という経験を思い出し、喜び・安心といった感情を想起して「犬はかわいくて癒しをくれる」という価値観を見出しました。一方、犬が嫌いなBさんは「犬にかまれて怪我をしたことがある」という経験が脳裏に浮かび、怖いという感情があふれ出します。そこにあるのは「犬は近づくと危ない」と考える価値観です。

 

 

 

このように4つの点で自身の内面を見つめなおすことでほかの人とは違う自分をメタ認知することが可能になるということです。

 


モチベーションが高まるときには“動機の源”が存在する

ここでリアルタイム受講生から「健全な批判をするために問いかける言葉は何でしょうか?」という質問が寄せられました。

 

「それが『認知の4点セット』です」と先生。「自分はこう考える、以上」と思考をストップさせず、どうしてそう考えるんだろう? と経験、感情、価値観を追求していきましょう。

 

続いての質問は「時代と対話をしてみたいのですが、どうしたらよいのでしょうか?」。先生はまず自身が興味のある時代、対象を明らかにしたうえで、4点セットで自身の考えを振り返ることを推奨します。そのうえで、今の世界を作っている人の思想も4点セットで推察してみます。あるいはインタビューや取材によって直接内面を探るのも一つの手段でしょう。

 

「批判的に振り返ること」について熊平先生は「批判的とはネガティブなニュアンスだけの意味ではない」と説明します。違う選択肢もあると想像力を働かせることで、多面的な視点を得られるのが批判的な振り返りのポイントです。

 

先生からも冒頭の質問に続き、「どんなときにモチベーションが上がりますか?」という問いかけがなされました。ポジティブな感情になるときもネガティブな感情になるときも、その背景には必ず「価値観」が紐づいています。「ポジティブな感情になるということは自身の感情が満たされているということである」と先生。

 

だからこそ、モチベーションが上がっているときは、「どんな価値観が満たされているのか」に思いを巡らせることで、価値観を自ら満たす手段を得る機会となるのです。

 

 

 

モチベーションを高める価値観は「動機の源」とも言い換えられます。例えば「仲間と一緒にプロジェクトを成功させてうれしい」という感情があるとき、その背景には以下のようにさまざまな動機の源が可能性として存在します。

 

・みんなとがんばれたことがうれしい【共創・協創】
・クリエイティブなアイディアが生まれてうれしい【創造性】
・ほかのチームに勝てたことがうれしい【競争】
・計画通りに実施できたことがうれしい【計画性】
・リーダーシップを発揮できたことがうれしい【リーダーシップ】
・スキルアップできたことがうれしい【成長】

 

例えば「メンバーの一員として貢献できる人間に成長できたことがうれしい」という意見を持つ方の事例では、以下のような経験、感情、価値観が例として挙げられました。

 

 

 

ぜひみなさんも上記を参考に、自身の動機の源を探ってみてください。

 

リフレクションの5つのメソッドのうちの一つ「自己を知る」の詳細は上記の通りです。授業では熊平先生からほかの4つのメソッドについても解説がしっかりとなされていますので、ぜひ受講の上、すべてを血肉としてください。

 

文=宮田文机

今回取り上げたSchooの授業はこちら!
『すべての経験を学びにする「内省」の技術』

 

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