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2020.06.22

interview

あの人気漫画『鬼滅の刃』との共通点も。Kaizen Platform 須藤憲司さんのバイブル、司馬遼太郎著『坂の上の雲』

あの人気漫画『鬼滅の刃』との共通点も。Kaizen Platform 須藤憲司さんのバイブル、司馬遼太郎著『坂の上の雲』

須藤憲司さんにとっての一冊

目次

  • 全く興味のない人でも読みたくなる!『坂の上の雲』面白ポイント3つ
  • 恋愛や人生論、人気漫画『鬼滅の刃』との共通点も
  • 読書に目的はいらない。好きな本にのめり込もう!
突然ですが、みなさんにとってお気に入りの一冊はありますか?

それが小説であれ、漫画であれ、「お気に入り」の本はその人の根本的な部分を体現するような気がします。

今回の授業では、Schooに何度もご登壇いただいているKaizen Platform CEO須藤憲司さんに、須藤先生おすすめの一冊『坂の上の雲』(発行元:株式会社 文藝春秋)をご紹介していただきます。

今トップランナーとして活躍する須藤先生のお気に入りの一冊、『坂の上の雲』とはどんな本なのか、知っている人も知らない人も必見です!

須藤 憲司 先生

KAIZEN Platform Inc. CEO

中田 有香

受講生代表

学びノート

SESSION全く興味のない人でも読みたくなる!『坂の上の雲』面白ポイント3つ

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今回私が紹介するのは、司馬遼太郎の『坂の上の雲』です。中田さんは読んだことありますか?

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ないんですよ。申し訳ないんですが、全く興味がなくて(笑)

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大丈夫です。それが自然な発想だと思いますよ。

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今日は、どうして須藤さんがそんなにも夢中になるのか、知りたいと思っています。それではまず、どういう内容なのか教えていただけますか?

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はい。これは歴史もので、日露戦争が始まる前から終わりを迎えるまでの物語です。

主人公は3人いて、秋山兄弟と詩人として有名な正岡子規です。

この3人は幼馴染なんです。

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秋山兄弟のお兄さんは好古(よしふる)さんといいます。

すごくお酒好きで、大人になると陸軍の将校になります。弟は真之(さねゆき)さんといって、海軍に入ります。

海軍で日本海海戦の参謀を務めます。3人とも大人になって違う世界で大活躍していくという話なんですね。

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ここから私が思う、この本の面白いポイントを3つ紹介します。

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一つは、弱小国の日本が大国ロシアに勝つというところです。当時の日本は弱小国ですから、日本にとってロシアは大国です。

すごく弱い国がすごく強い国と戦争をして勝ってしまうという話なのですが、僕はこれは見方によってはスタートアップの物語だと思っています。

どうやって日本が勝っていくか、わくわくする大逆転の物語なんです。これがポイントの一つ目です。

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二つ目は、登場人物が魅力的なところです。

例えば小村寿太郎(こばやしじゅたろう)。外務大臣なんですが、この人は日本とイギリスが結んだ日英同盟を実現したんです。これがなかったら、絶対勝てなかったんです。

当時イギリスは世界最強の国だったのですが、そのイギリスがすごく弱い極東の小さい国と同盟を結ぶというのはすごい偉業なんです。

だからスタートアップで言うところの、COOとかCSOに当たりますね。

なんとか大企業と提携しようとする感じですね。これもすごく裏の駆け引きがたくさんあって面白いです。

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三つ目は、幕末に活躍したヒーローたちの次の世代が出てくるところです。

みなさん『坂の上の雲』は読んだことがなくても、幕末の話は好きな人が多いと思います。『坂の上の雲』では西郷隆盛の弟や甥、勝海舟に学んだ人などいっぱい出てきます。

主人公たちが直接幕末のヒーローたちから学んだことを活かしていくわけですよね。幕末が好きな人にとってこれはたまらないのではないかと思います。

SESSION恋愛や人生論、人気漫画『鬼滅の刃』との共通点も

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昔の話ですが、今でも参考になることがたくさんあります。

なかでも、秋山兄弟の弟、真之さんは天才参謀と呼ばれたエピソードがあって。

物語の終盤のハイライトに日本海海戦でロシアの「バルチック艦隊」という非常に多くの戦艦を持つ艦隊が日本海に攻めてくるというシーンがあるんです。

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日本軍は待ち伏せをするのですが、とにかく一隻たりとも残さずに撃沈させて完全勝利をする以外に、日本に勝ち目がない状況だったんですね。

あんな広い海で、見つけて迎え撃つ。普通に考えたら、めちゃくちゃ難しいわけです。

そんな追い詰められた状況でも、なんとか頭脳戦に持ち込んで勝ったという話で。

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そんな天才参謀、真之さんの名言があります。

「経験は必要だが、経験によって増える知恵と同じ分量のカキ殻が頭につく。知恵だけ採って、カキ殻を捨てるということは人間にとって大切なことだが、老人になればなるほどこれができぬ。」です。

これは、「歳を重ねると、過去の経験に囚われがちになるが、それらを取り払い、進化していかなければいけない」というようなことを言っているんです。

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今も同じことが言えそうですよね。

あとはこの真之さんが乗っている戦艦を「三笠」と言いますが、その艦長が有名な東郷平八郎さんなんですね。

小説のなかで東郷さんが艦長に選ばれるシーンがあるんです。当時で言うと大抜擢だったんですね。

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海軍の偉い人がなぜ、東郷さんを選んだのか聞かれると「運のいい男ですから」と答えるんです。

能力だけではなくて、最後にかかってくる運も含めて勝てるから選んだと言うんです。

なかなかドラマチックですよね。

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なるほど。生きていると運が最後ものを言うみたいなところありますもんね。

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あります。

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僕は、自分の実力は15%くらいしか左右しなくて、85%運だと思っています。

運や流れ、めぐり合わせ、縁とか。15%の範囲の努力で精一杯踠いて、その85%のところをどうやってコントロールするかというのはすごく大切ですよね。

だから僕はこういう考えにすごく共感しますね。間違いなく運がいい人の方がいいですし(笑)運も実力の内ですから。

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運がいい方って、本当に運がいいだけではないですよね。

ものの考え方とか人との接し方とか、運を引き寄せるために何かしら行動しているような気がします。

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そうなんです。努力をしているんです。

最大限努力をした上で、最後自分でどうにもならない部分を天に任せているということなんですね。

運を使うための準備を最大限やっているということですよね。

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周りの人からしたら「運だけ?」と思われるかもしれませんが、その背景を知ると、実はいつ運がめぐって来てもいいような準備をしているということなんですね。

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そうですね。運だけではなく、その運をつかむための努力も必要なんですね。

あとは恋愛のシーンも実は少しあります。

広瀬武夫さんというロシアに留学している将校とロシアの貴族の女性の悲恋の話です。

両思いなのですが、日本とロシアが戦争になってしまって別れるという。これはなかなかグッときますね。

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ゴリゴリの戦争の話かと思いきや、恋愛要素もあるんですね。

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あります。

あと最近、僕人気漫画『鬼滅の刃』を読みまして、すごく面白かったんです。

何が面白いかというと、敵である鬼のバックストーリーまでよく書いているんですよね。

『坂の上の雲』も、敵役であるロシアの登場人物もすごくいいんです。

真面目な人もいるし、不真面目な人もいるし、ずるい人もいるし、日本側も必死に戦っていますが、ロシア側にもこういうドラマがあったんだなと思います。

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私も『鬼滅の刃』、アニメだけ観たのですが、どちらにも感情移入してしまいますよね。

鬼は人を殺しているので、倒してほしいのですが、鬼にもそんな背景があるのかと思うと感情が揺れてしまいますよね。

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そうなんです。

鬼が人間だったころの話が出てくると、「え、そんなに悪いやつじゃないじゃん!」と思いますよね(笑)

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そうなんですよ(笑)でも人を殺すなんて残酷だしな…みたいな(笑)

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そうですよね。

ちなみに『鬼滅の刃』は大正時代の話ですから、『坂の上の雲』のちょっと後の話ですね。

SESSION読書に目的はいらない。好きな本にのめり込もう!

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『坂の上の雲』を読んで、何か考えが変わったとか、仕事に活かせてるところはありますか?

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今回の企画を壊してしまうかもしれないと思ったのですが、ないんですよね(笑) 

まあ、全くないわけではないですけど、何かの役に立てようと思って読んでいるわけではないんです。

好きな本って好きだから読んでいるんですよね。

「なぜあなたはこの音楽を聴くんですか?」と聞かれたら、好きだからじゃないですか。

「好き」っていうのは十分理由になると思います。

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もちろん「こんな大変な時代にこんな偉人たちがやっていることに比べたら、自分が悩んでいることなんてちっぽけだな」とか、細かく思うことはありますが、それはワンオブゼムに過ぎなくて、夢中になって読んでしまうという感じですね。

本が好きな人は共感してもらえるかもしれませんが、僕が読みたいから読んでいるわけで、好きだから読んでいる中で、たまたま人生や仕事に役立つ副産物があるという感覚ですよね。

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それはあるかもしれないですね。

学ぼう学ぼうとすると、表面的なことしかわからないけど、本当に好きでのめり込んで隅々まで読むと、思わぬところで発見があったり、深いところまで理解できたりしそうですね。

ありがとうございます。

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この授業でご紹介した書籍はこちら!気になった方は、ぜひチェックしてください!

『坂の上の雲』司馬遼太郎
https://www.amazon.co.jp/dp/4163228101

『ハック思考 最短最速で世界が変わる方法論』須藤憲司
https://www.amazon.co.jp/dp/B0855FWZ5B

『90日間で成果をだす DX(デジタルトランスフォーメーション)入門』須藤憲司
https://www.amazon.co.jp/dp/B086MSD45L

2020年06月22日 公開

この授業の動画をSchooで観る

2020年05月20日 放送分
須藤憲司さんにとっての一冊

須藤憲司さんにとっての一冊

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