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2020.11.05

Column

不倫は「個人の問題」ではなく、「社会課題」である

不倫は「個人の問題」ではなく、「社会課題」である

みなさんは「不倫」について深く考えたことがありますか?

「そんなことはない」と答える方が大半でしょう。

しかし、不倫は単なる個人の問題ではなく、社会課題といえるもののひとつです。

全3回に渡って見逃しがちな社会課題について考え直すSchooの授業シリーズ『教養としての「社会課題入門」』。第二回の授業では「障害者の性」や「風俗店で働く女性の支援」といった課題に、新しい「性の公共」をつくるという理念に沿って取り組む非営利組織・ホワイトハンズ代表理事の坂爪真吾先生より、「不倫という名の社会課題」について学ぶことができます。

この記事では、その内容を抜粋し「不倫はなぜ社会問題ととらえられるのか」について深堀りします。

目次

  • 不倫は個人間の問題ではない。
  • 不倫を「感染症」ととらえる
  • 現代は史上最も不倫をしやすい社会
  • なぜ現代社会で不倫を防止すべきなのか

 

不倫は個人間の問題ではない。

 

「今日のテーマは不倫を『個人の問題』としてではなく『社会の問題』として考えることです」という坂爪先生。不倫は個人のモラルや道徳観念の問題として考えられがちですが、視野を広げると背景に様々な社会問題が眠っているそうです。その例として挙げられているのが、子どもの貧困やシングルマザー・シングルファザーの貧困。不倫による離婚や家庭崩壊の影響がその背景にあると坂爪先生は語ります。

 

統計データでも離婚の原因の上位に来るのは浮気や不倫。その結果、離婚が発生し経済的な困窮に陥る人が増加するという流れがあります。

 

それにもかかわらず、不倫を社会的な問題としてとらえようという動きはほとんど見られません。「不倫で悩んでいる人を救わねばらない」という意見は確かに一般に浸透しているとはいいがたく感じられるのではないでしょうか。

 

 

そのため、あえて坂爪先生は不倫を「社会問題」としてとらえることを提案しているのです。

 

 


不倫を「感染症」ととらえる

前提を踏まえて取り上げられたのが「不倫を『感染症』として考える」というテーマ。不倫は恋愛感情やモラルなど個人の内面を起点として生じるように考えられがち。しかし、不倫に対して法的リスクを説いたり道徳的に諭したりしてもあまり効果はないと先生は主張します。

 

そして、不倫は本人の意思ではなかなか止められず、どんな人でも渦中に巻き込まれる可能性を持つ“感染症”的な存在としてとらえる方が、意義があると坂爪先生は考えました。

 

例えば芸能人や政治家などさまざまな有名人の不倫がたびたび報道されます。そういった著名な人、意志の強い人でもコントロールできないのが不倫というものなのだと先生は語りました。

 

受講生代表の花海さんからは「確かに過去、不倫をしている友人に法的・モラル的な説得を試みたが考えを変えられなかった」と先生に同意する意見が。

 

なお、先生にとっての不倫の定義は「既婚者が配偶者以外の相手と恋愛感情を伴った肉体関係を持ち、かつその関係を継続する意思を相手方と共有していること」です。

 


現代は史上最も不倫をしやすい社会

不倫が社会問題といえる理由は、社会を総覧するとよく見えてきます。

 

「現代は史上最も不倫をしやすい社会です」と坂爪先生。

 

「その理由は何でしょうか?」とリアルタイム受講生に問いかけがなされました。ちなみに、歴史的にみれば江戸時代などは不倫に対して厳しい社会情勢があり身分によっては死罪に処せられる規定もあったということです。

 

 

受講生から寄せられた回答は以下の通り。

 

・SNSやマッチングアプリの普及が背景にあるのでは?
・セフレをつくりやすいから
・女性が男性と同じ社会で働くようになり接点が増えた

 

「良い線を言った回答ばかりでうれしいです」といいつつ坂爪先生が提示する回答(理由)は以下の3つでした。

 

【理由①】SNSの発達、価値観の多様化
【理由②】慰謝料の低下
【理由③】不倫の動機の多様化

 

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

 

理由①は受講生のコメントでも触れられていました。スマートフォンの普及により自分だけのネット端末から世界中にアクセスできるようになった現代はやはり不倫も容易な世の中になっているようです。職場や過去の同級生など様々な人と簡単につながれるのが今という時代の特性なのです。それに伴い、不倫が絶対悪、やってはならないことという価値観が相対化され、多様なものの見方の一つとされつつある流れもあるようです。

 

理由②はお金にかかわるなかなかリアルな事情です。不倫は不貞行為に該当するものの、慰謝料を請求してもせいぜい数十万~百万円しか取れないケースが増えていると先生。弁護士費用などを考えればマイナスになってしまう場合も少なくありません。海外では不倫相手には慰謝料を請求できないという国もあり、日本もいずれはその方向へ向かうのではないのかと先生は予想します。

 

理由③の事例として挙げられたのが「市場価値の確認」という不倫の動機。自分が異性としての価値を十分にあるということを確認するために不倫に走るという場合です。ほかにも、「中年の危機」「話を聴いてもらいたい」「パートナーへの当てつけ」といった理由が挙げられました。

 

様々な理由で不倫に走る人がいる中で「そもそもすべてひとくくりに不倫と呼んでいいのか」という疑問を先生は提起します。「関係性にあった表現があっても良いのではないか」と先生は考えているそうです。

 


なぜ現代社会で不倫を防止すべきなのか

価値観の多様化した現代社会。こんななかでなぜ不倫を防止する必要があるのでしょうか?

 

その理由として先生がピックアップしたのが以下です。

 

 

家庭崩壊、社会的信用の低下、失業、子供への精神面への悪影響、脳内不倫、不倫中毒……。子どもへの影響の例として先生からは「不倫の世代間連鎖」が挙げられました。幼いころから親が不倫している環境にあれば、子どもも不倫にそれほど抵抗感を持たなくなるのは想像に難くありません。

 

脳内不倫とは、坂爪先生の造語で、“片思いで不倫しているかのように思い込んで結果的にセクハラに発展してしまうこと”を指します。「不倫」だと自分が思っていても「ハラスメント」だったという可能性も大いにあり得ます。 不倫のタブー破りの感覚の中毒になってしまい、辞めたくてもやめられない人もいるはずだと先生は指摘します。

 

このような問題を孕む不倫が現代最も起こりやすくなってしまっているという事実。それに対処するには個人の問題として片づけず社会全体で解決に取り組む必要があるようです。

 

授業ではほかにも「不倫が起こりやすい場所」や「不倫ワクチンの開発法」について言及されました。すべて知りたい方はぜひ実際の動画にてご確認ください!

 

『教養としての社会課題入門」シリーズ 第2回 はじめての不倫学——「社会課題」として考える(一般社団法人ホワイトハンズ 坂爪真吾) 』

http://schoo.jp/class/7239/room

 

文=宮田文机

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