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2022.04.11

interview

“ルノアールは人生の岐路に立たされた人が集まる”ーー株式会社おくりバント代表取締役会長高山洋平さんがプロ営業師の仕事術を解説

“ルノアールは人生の岐路に立たされた人が集まる”ーー株式会社おくりバント代表取締役会長高山洋平さんがプロ営業師の仕事術を解説

人生や仕事で大事なことは街が教えてくれる

目次

  • プロ飲み師・プロ営業師 高山洋平とは
  • 人の考えは十人十色「ルノアール理論」
  • コミュニケーションの根幹は教養だ
  • 人を安心させるためにハードボイルドを学べ
  • スナックに入る時は耳を澄ませ
営業では相手への気遣い、マナー、モラル、しきたり…目に見えない様々なルールを守りながら相手の懐に飛び込むことが求められます。
営業に求められるスキルをどう学んだらいいか悩んでいる方もいるのでは。

そこで、今回の授業では、株式会社おくりバント代表取締役会長であり、自称プロ飲み師・プロ営業師の高山洋平先生に、営業スキルの身に付け方についてお話ししていただきます。

ルノアールから聞こえてくる会話、飲み屋での立ち振る舞いから、仕事に大事なことだけでなく、人生に大切なことを学べると語る真相とは?

高山 洋平 先生

株式会社おくりバント代表取締役会長

徳田 葵

受講生代表

学びノート

SESSIONプロ飲み師・プロ営業師 高山洋平とは

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高山先生、まずは自己紹介をお願いします。

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高山洋平と申します。おくりバントという、広告やPRの会社を経営しています。自称プロ飲み師、プロ営業師です。

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これは本当の話なのですが、365日、一日2,3件飲んでます。

20

一日2,3件を365日!?すごいですね。

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そんな高山先生とお送りする今回の授業のテーマは「人生や仕事で大事なことは街が教えてくれる」です。

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高山さんのご著書『ビジネス書を捨てよ、街へ出よう プロ営業師の仕事術』
https://www.amazon.co.jp/dp/4862807755)を基に授業を進めていきます。

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高山さんはずっと営業をされていたということで、「営業の基本は千差万別の人間を理解することだ」と著書に書かれています。これはどういうことでしょうか?

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まずは「色んな人がいるということを理解する」ということ。

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これは営業だけでなく、コミュニケーション全般に言えることですが、自分と相手の常識が食い違い、自分の言葉が意図しない形で伝わることってありますよね。

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その食い違いを防ぐためには、相手の言葉の真意を察する能力が必要だと思っていて。だから、なるべく色んな人を見て、自分の考え方の幅を広げることが大事だと考えています。

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人を見る目を養うということでしょうか?

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そうですね。飲みに行くと、スマートな客もいれば、マナーの悪い客もいますよね。

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例えば、部下を説教し続けて場の雰囲気を悪くしている客と出くわすこともあるし、かと思えば、カード決済時のサインに「ママへ」と書くユーモアのある客と出会えることもある。

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飲み屋というオープンな場だからこそ、良くも悪くも人間のさまざまな立ち振る舞いを見ることができるんです。

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あとは、乾杯をするときに部下や後輩がグラスを下げる風習があるじゃないですか。飲み屋で、地面すれすれまでグラスを下げる人を見かけて「これって必要なのかな?」とずっと不思議に思っていて。

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だから、自分はむしろ上げていこうと思うようになりました。だって、みんなでグラスを競って天高らかに上げていく方が景気がいいじゃないですか。

20

確かに、いいですね。

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あと、名刺交換する際に自分の名刺を下げる風習もありますよね。

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ありますね。私もついやってしまいます。

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それって、当たり前にされてることだけど、面白みに欠ける気もしていて。だから、僕は名刺を4枚出していました。

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4枚!?

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かつてロッテにいた落合選手が中日に移籍する際、落合選手1人に対して、4人の選手がトレード移籍したんです。この名刺交換はそれに重ねていて、相手の名刺1枚分は自分の名刺4枚分の価値がある、というギャグですね。

20

なるほど。気づくのは難しそうですね…

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気づくかどうか、相手を見るのにも役立ちます。

SESSION人の考えは十人十色「ルノアール理論」

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受講生の方から「高山さんのルノアール理論が好きです」というコメントが来ていますが、ルノアール理論とは何でしょうか?

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要は部下にカマせるテクニックのことですね。なるべく部下には尊敬されていたいじゃないですか。それが、優秀な部下であるならなおさら。そのためには先輩としての威厳を見せなくてはいけません。

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方法はいたってシンプルです。まず部下とルノアールに行き、「アイスコーヒー2つとサンドイッチセット2つ、ケーキ2つください」と頼みます。すると部下は「あ、僕の分まで注文してくれたんだな」と思いますよね。その直後にすかさず「君は?」と聞くんです。

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一瞬思考が停止しますよね。

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そうですよね。そんなことされたら部下は「あ、じゃあ僕もとりあえずアイスコーヒーとサンドイッチと…」と焦り、そして謎の畏怖の念が生まれると思います。僕はこれを「ルノアール理論」と呼んでいます。

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ちなみに、ルノアールは他のお客さんを観察するのにもいいと思います。

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ルノアールで人間観察ですか?

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人間観察をしていると、赤裸々な人間模様が見えてきたりもして。以前隣の席に、60代くらいの飲み屋のママと、そこに勤めている40代くらいのアルバイトが座っていたんです。洩れ聞こえてくる内容は、ママが3万円貸した従業員がそのまま姿を消してしまったという話。

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ママは悲しそうに「3万円はいいんだけど、どこに行ったのかね。返さないような子じゃないんだけどね」とぼやいていました。

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それで「3万円で突然関係が切れてしまうことってあるんだ」と衝撃を受けて。おそらく不倫カップルであろう2人から、昭和のトレンディドラマのワンシーンのような「俺たち出会うのが遅すぎたね」というベタな台詞が聞こえてきたこともあります。

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本当に世の中には色んな人がいて、色んな関係があって、色んな価値観があるんだなと実感させられるんですよね。

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ルノアールって、回転率を上げたい喫茶店とは違って、少し価格も高めに設定されているし、ホスピタリティも充実しているので長時間いやすいんです。

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なので、腰を据えて話をしたい人が集まってきやすいんです。中には人生の岐路に立たされた人もいる。

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僕自身も、前の会社を辞めるという話を社長に打ち明けたのもルノアールでしたし、会社を立ち上げたいという展望を語ったのもルノアールでした。

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今までルノアールに行ったときにそういうことを意識していませんでした。周りの人を観察するという視点を持っているといいということですね。

SESSIONコミュニケーションの根幹は教養だ

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色んな人を観察して、自分の価値観を育むことが重要なんですね。

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そうですね。ルノアールでの人間観察をはじめ、一見無駄に思えることも仕事に役立ちます。

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営業マン時代、自ら申し出て上海に駐在していた時期があるんです。当時、中国語は一切話せませんでしたが、中国のカルチャーは大好きでした。

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現地の人に、中国の音楽や映画、小説のことを片言の中国語で話すと喜んでコミュニケーションを取ってくれて。『三国志』も、中国のラッパーであるMC HotDogの知識も多いに役立ちました。

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一般企業に勤めるビジネスパーソンもそれぞれ趣味がありますよね。相手の趣味に関連した知識があれば、会話は広がり盛り上がります。だから、コミュニケーションの根幹は教養だと思っています。

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雑談力が大事だという話も聞きますよね。

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特に若いときはインプットをたくさんした方がいいと思います。若い頃に詳しく調べたり深掘りする癖をつけて、物事にハマるコツを掴んでおくと、年を取って新しいことを始めるとき、理解や習得のスピードも上がると思っています。

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自分から学びに行く、自分から行動するということが大切ですよね。

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色んな知識というのはどの分野から身につければいいでしょうか?好きなものから始めてみるといいのでしょうか?

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まずは、好きなものでもいいと思いますよ。相手に物事を深く掘り下げられたり、会話の引き出しが多い人だと思われることが大切です。

SESSION人を安心させるためにハードボイルドを学べ

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高山さんは、ハードボイルドの世界を学ぶことも推奨されていますね。

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ハードボイルドな漫画や映画の主人公って、日常的にトラブルに巻き込まれるんです。でも、主人公は決して慌てず、ウィットに富んだ台詞をスラスラ発します。

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例えば、依頼主から「トラブルに巻き込んでごめんなさい」と謝られると、「安心しろ。俺のミドルネームは『トラブル』だから」とか。

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動揺する素振りは見せないんですね。

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「このくらいのトラブルは日常茶飯事なんだな」と思いますよね。ハードボイルドな漫画や映画は人を安心させられるセリフの宝庫です。そこから部下が失敗をしたときや、トラブルを起こしてしまったときのヒントを得ることができます。

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僕が特におすすめしているのは、寺沢武一さんの漫画『ゴクウ』と、原亮さんの小説沢崎シリーズです。粋でユーモアに溢れた言葉が詰まっています。

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部下としては「ついていきたい」とも思いますよね。

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部下からは信頼を得られますよね。怒るとパワハラだと感じられてしまう現代の、指導指南書にもなりうると思っています。

SESSIONスナックに入る時は耳を澄ませ

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最後に、プロ飲み師として何か若者に指南いただけると嬉しいです。

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みなさんはスナックってあまり行きませんよね。値段もわからないですし。

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入りづらいイメージを持たれている方もいるかもしれません。

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そうですよね。でも、スナックもルノアールと同様、人間関係や人間性がより色濃く現れる場所です。それに、客同士で会話をすることもある。なので、価値観の幅を広げたり、コミュニケーションの練習の場としてもおすすめなんです。

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なるほど。

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スナックへの入り方はまず「ここいいな」と思ったらドアに耳を当ててください。そこで、カラオケを歌っているか歌っていないかを聞きます。歌っているときに入ってこられると、歌が途切れてシラけてしまうじゃないですか。

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一瞬、ドアの方に視線が集まりますよね。

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そうですね。それと、ドアを開けた直後に「いくらですか?」と値段を確認するのは無粋です。僕の場合、ふわっと「どんな感じですか?」と聞きます。そしたらママが値段を教えてくれます。

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なるほど!

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店に入ったら常連客の会話を聞きます。初来店で自ら進んで会話するのはあまりおすすめできません。話題を振られたら返す程度がいいかもしれません。

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また、「何か歌いなよ」と言われたら、いきなり若い人の歌を歌うのもやめた方がいいでしょう。デンモクの曲の履歴を見て、直前までの流れに合わせた選曲をするのが良いと思います。この一連の行動は場の空気を読んだ気遣いなので、営業と通じるところがあるかもしれないですね。

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さすがプロ飲み師、人生や仕事で大事なことは街が教えてくれるんですね。
高山先生、今回はありがとうございました!

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では、最後に高山さんからお知らせがあります。

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Twitterの「男たちの美容外科【公式裏垢】」(@otokotachi)を皆さんぜひフォローしてください。僕のクライアントで、最近一緒に面白いことを始めたのでぜひお願いします。「面白いことしましょう」と言い合って実現した唯一の例です。いいね、RTもお願いします。

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ぜひお願いします。高山さんの著書もぜひチェックしてみてください!

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『ビジネス書を捨てよ、街へ出よう プロ営業師の仕事術』著:高山洋平さん
https://www.amazon.co.jp/dp/4862807755

2022年04月11日 公開

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2022年01月12日 放送分
人生や仕事で大事なことは街が教えてくれる

人生や仕事で大事なことは街が教えてくれる

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