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2021.09.26

Column

“ラーメン二郎”はなぜ成功した? 経営学をジロリアン目線で学ぼう

“ラーメン二郎”はなぜ成功した? 経営学をジロリアン目線で学ぼう

“ラーメン二郎”といえば、言わずと知れた人気ラーメン店。ヤサイマシマシニンニクアブラカラメなど独特の注文方法や、うずたかく盛られた具材などで、ラーメン業界でもひと際異彩を放っています。

そんなラーメン二郎から経営学を学ぼうというのがSchooの授業シリーズ「ラーメンですべてがわかるビジネス教室」。講師は京都大学経済学部、ハーバード大学経営大学院、アクセンチュア戦略グループなど錚々たる機関で研究やコンサルティングに携わり、現在は名古屋商科大学ビジネススクール教授を務める牧田幸祐先生です。

目次

  • ジロリアンに学ぶ“ポジショニング”と“ラーメン業界の特徴”
  • 中本・二郎に共通する「提供価値」とは?
  • ラーメン二郎を「唯一無二」にするポジショニングを探せ!
  • ラーメン業界の特徴がラーメン二郎の成功につながった?

 

 

ジロリアンに学ぶ“ポジショニング”と“ラーメン業界の特徴”

 

 

「今日は一人の『ジロリアン(ラーメン二郎をこよなく愛するファン)』として皆さんにお話をしていこうと思います」と宣言した牧田先生。

 

本日のテーマとして先生が掲げるのは2つ。

 

ひとつは“ターゲットであるジロリアンに向けたラーメン二郎の提供価値がほかのラーメンとどう違うのか”。提供価値で他社と差別化することをマーケティング用語では「ポジショニング」といいます。

 

もうひとつは“ラーメン業界の特徴”。ほかの外食産業と比べてラーメン業界にはどのような特徴があるのでしょうか?

 


中本・二郎に共通する「提供価値」とは?

先週朝ごはんとして蒙古タンメン中本を食べたという牧田先生。あまりの辛さに「なんで俺はこんなバカなことをしてるんだろう?」と自問自答したということです。単なる笑い話のように感じられますが、ここにはマーケティングのヒントが隠されています。

 

牧田先生曰く、「これが中本の提供価値なんですよ」。

 

「中本はラーメンを通して自問自答する機会を与えてくれている」と先生は語ります。

 

 

 

つづけて話題はいよいよラーメン二郎へ。二郎に到着してからの先生の気持ちは注文時の逡巡でアゲ(プラス)とサゲ(マイナス)の間をせめぎあったのち、ラーメンの登場でぐっとアゲに傾きます。しかし、あまりのラーメンの量に5分を過ぎるとサゲに急降下。後半戦になり、終わりが見えると下がった気持ちは一転右肩上がりの曲線を描き、食べ終わったときには頂点に達しました。

 

気持ちがサゲの底を打ったとき、「自分を信じられない」気持ちになったという牧田先生。しかし、最後に間食したことで「自分を信じてよかった」という感覚を得られました。

 

 

 

600~800円程度の金額で食べられるラーメン二郎。それだけの金額で「自分を信じてよかった」という感覚が得られるのです。それは東京マラソンのゴールシーンにも通じると牧田先生は語ります。

 

すなわち、蒙古タンメン中本やラーメン二郎の提供価値とは“自分を信じる気持ち”と“達成感”なのです。

 


ラーメン二郎を「唯一無二」にするポジショニングを探せ!

ここで表示されたのがラーメン業界の一般的なポジショニングを「こってり・濃厚/あっさり・さっぱり」「軽食感覚で食べられる/がっつり食べられる」で4象限に分類した図。しかし、「これはポジショニングとしては失敗です」と牧田先生。なぜなら、ポジショニングにおいて同じ象限で連なったように並ぶ対象はどれも「似ている存在」として処理されてしまうから。

 

 

 

どうせ似ているなら、さまざまな理由で「近くの別の店にすればいいや」と人は考えてしまうかもしれません。ポジショニングは「唯一無二の存在」を見出すために行うものなのです。

 

そこで先生が用意したのが「達成感を堪能できる/美味を堪能できる」「店主・客との一体感」「一人で落ち着ける・テーブル内で落ち着ける」。同ロットでラーメンを同時に提供するラーメン二郎では、カウンターの隣に座った人々とラーメンを同時に食べ始めることになります。つまり、食べ終えるまでのマラソンをともに走る仲間を得られるのがラーメン二郎なのです。

 

 

 

「このように自社が唯一無二になれるような軸を試行錯誤しながら考えていかなければならない」と牧田先生はいいます。「ラーメン二郎はラーメン二郎という食べ物である」という格言が存在します。スープや麺などで工夫を重ね日々シビアな戦いを重ねている人の多いラーメン業界ですが、二郎のようにほかの人が思いつかない軸で差別化を図ることで唯一無二のポジションを築けるかもしれません。

 


ラーメン業界の特徴がラーメン二郎の成功につながった?

ふたつ目のテーマは「ラーメン業界の特徴」。まず、ラーメン業界の市場規模は約7,500億円。これはハンバーガーの市場規模とほとんど同じです。ただし、ハンバーガー業界は上位三社(マクドナルド・モスバーガー・ロッテリア)がシェア90%を占めています。一方ラーメン業界はシェア一位の日高屋、二位の幸楽苑の二社の市場規模を合わせても約700億円にしかなりません。

 

すなわち、「ラーメン業界ではみんなが強い好み・こだわりを持っていて、標準化されたラーメンはない」と牧田先生は語ります。このような業界の特徴をマーケティング用語で“分散型事業”といいます。このような業界では、規模の拡大がそれほど望めない代わりに、特徴が認められれば一定のファンがつく可能性が高いと考えられます。

 

すなわち、「自分の信念・こだわりをターゲット顧客にぶつける」ことがラーメン業界で戦うときの正解です。反対に万人受けを目指しては、望む結果が得られない可能性が高いでしょう。

 

このようにある顧客に受けるがほかの顧客に受けないことを受け入れることがマーケティングにおいて重要だといわれる「差別化」なのです。

 

 

 

「ラーメン二郎の店主はジロリアンでもある」と牧田先生。それぞれにこだわりがあり、野菜のゆで具合からスープの濃さまで違いが存在します。そして、それを認める風土がラーメン二郎にはあります。

 

それは、そのラーメンがそれぞれの店舗を店主が自分なりに解釈した表現だから。日によってラーメンの味が微妙に違うこともジロリアンは楽しみます。そのようなラーメンのあり方を牧田先生は芸術作品に例えます。そして、差別化が求められる分散型事業では、芸術作品のようなラーメンがヒットする必然性があるといえるのです。

 

牧田先生のラーメン二郎についての講義は今回が前編です。より深く二郎×マーケティング戦略についての講義が行われた後編、競争優位性について取り上げた第三回の録画授業もSchooでは見放題。ぜひ、受講をご検討ください!

 

文=宮田文机

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『ラーメン二郎から学ぶ「マーケティング戦略」(前編)』

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