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2020.10.12

Column

仮想通貨の登場で変化した「お金の本質」とは?

仮想通貨の登場で変化した「お金の本質」とは?

仮想通貨やFinTechという言葉が一般に浸透しつつある昨今。お金・金融のあり方は大きく変わろうとしています。

そんななかでもう一度考えたいのは「お金とは何か」ということ。

見慣れた紙幣やコインだけが「お金」という感覚は過去のものになりつつあるものの、いったいお金とは何かという問いにはっきり答えられる方はそう多くないのではないでしょうか。

Schooの授業『デジタル時代のお金・金融の基礎講座 -いまさら聞けない「デジタル通貨」入門~デジタル通貨は、はるか昔から存在?~』では、現代人が知っておくべきマネーリテラシーを最新FinTechビジネス・トレンドや基礎的な経済知識とともに学べます。

講師は「資産形成に関わるセカンドオピニオン」を行っている株式会社ノークリー代表取締役の大石武先生と代表ファイナンシャル・プランナーの松澤健一郎先生です。

目次

  • お金の形が変化しても変わらなかったもの
  • お金と金の関係をニクソンショックが変えた
  • お金の本質を示唆する信用創造

 

お金の形が変化しても変わらなかったもの

 

貝殻、金、紙幣、情報などお金のあり方が変化してきた歴史を総覧したうえで大石先生・松澤先生から出されたのが以下の問いです。

 

【Question】お金の形が変化しても変わらない・変わらなかったものは?

 

リアルタイム受講生の一人から出された答えの一つが「お金の価値観と、それに対する対価というやりとり???」。先生は2人とも首肯し、「対価としての取引・トレードをしているということについては健在中ですよね」と答えます。

 

 

続いて取り上げられた回答コメントは「お金を求める『目の色』」という皮肉なもの。大石先生は「それはむしろどんどんギラギラしてるんじゃないかな」と苦笑交じりに返します。

 

ほかにも「お金に関する欲望」「ありがたみ」など寄せられた回答は人それぞれです。なかには「デジタルになると、紙幣のデザインとかの楽しみがなくなるなぁ~」という意見も。

 

いよいよ先生から出された答えはCredit(信用)です。お金の本質は「『信用』に裏打ちされたモノの交換から『信用』に裏打ちされた情報の交換へと変わった」と大石先生。物理的なモノからデジタルな情報に信用の代替品が移り変わることで、より身軽に動かしやすくかつ見えなくなってきているということです。

 


お金と金の関係をニクソンショックが変えた

「お金の進化論はデジタルの進化そのものなんですよ」と大石先生。もともとモノだったお金が貝、金と変遷し、さらにお札に変わりました。この時点でモノだったものが紙幣へと転換し、いわば一度デジタル化が起こったのだと先生は主張します。モノという目に見えるものとの交換価値が、紙に記述された「情報」に変わったというわけですね。

 

そして、その紙幣が銀行に預けられることで通帳の数字というさらにもう一段デジタルな形に置き換えられました。それがさらにデジタル通貨へと移り変わろうとしています。『「デジタルの4乗通貨」といえるかもしれません』と大石先生。

 

 

では、デジタルの通貨という観点で見たときに「お金と金(きん)の関係」はどうなのか?

 

このような大石先生の問題提起を受けて、講義の話し手は松澤先生にバトンタッチされます。

 

「色んな分岐点があるんで言い切るのは難しい部分があるんですけど」と前置きしつつ「一番はここかな」と松澤先生が挙げたのが「1971年のニクソンショック」。

 

 

預かり所において金と交換できる紙幣は一般に兌換紙幣と呼ばれていました。

 

紙幣の発行は金を元手に行われていたかつての状態は、大きく変わることになります。その原因のひとつが1929年の世界恐慌。ガタガタになった経済を立て直すためにお金の流通量を増やさなければならない。その必要性から、金がなければ通貨を発行できないという状態を改善するため国が紙幣の価値を担保する不換紙幣の考えが生まれました。

 

「でもまだすべてが変わってはいないわけですよこのときは」と松澤先生。

 

ニクソンショックの舞台となるアメリカという国は、世界の3/4の金を占めていた時期もありました。一定の金額で金と交換できるドルは国際的に支配的な役割を務める基軸通貨だったともいえます。そして現在も存在するIMF(国際通貨基金)が固定相場制下の各国の紙幣の為替相場を牛耳っていました。

 

しかし、1950年代以降に起こったのが日本をはじめとする新興国の経済成長です。膨らんだ経済力をもとに新興国は、大量のドルを買います。その結果生じたのがドル高。ほかの通貨に比べてドルの為替相場が高いということは、ドルを通貨とするアメリカのような国は輸出において不利になるということです。

 

そこで起こったのがニクソンショック。当時のアメリカ合衆国大統領ニクソンがドルと金の交換を廃止したのです。「これが、金本位制がある意味終わったタイミングだった」と松澤先生。

 

その結果各国の中央銀行が自由に通貨を発行できるようになり、現在当たり前となっているお金を取り巻く状況ができあがりました。

 


お金の本質を示唆する信用創造

「その結果生じたのが『信用創造』ですよね?」と大石先生。「これも最近ニュースになる話なんですけど……」と前置きして松澤先生が説明したのが以下の図です。

 

 

図のAさんがα銀行に100万円をあずけると通帳には100万円と記帳されます。そも99万円をα銀行はBさんに融資し、Bさんはそっくりそのままβ銀行に預けました。同様にβ銀行は1万円残して98万円をCさんに融資。Cさんはγ銀行にすべてのお金を預けました。

 

このようにお金がめぐることによって、Aさんの100万円が、α銀行・β銀行・γ銀行の通帳に記帳されている合計金額(297万円)にまで膨れ上がったわけです。

 

これが信用創造。「中央銀行しかお金を発行できないといわれていますが実は民間の銀行もこんな風にお金を世の中に流通させている」と松澤先生はいいます。

 

つまり、実際に発行されたお金よりも“あるとされている”量のほうが多いということですから、大きな金額を銀行から引き出すには事前に予約が必要になる場合もあります。

 

このような状況を鑑みれば、お金の本質は「モノ」や「紙幣」ではなく「信用」だということがより腹落ちしやすくなるでしょう。

 

 

本授業シリーズの第2回は「令和に学びなおす“デジタルクレジット”」。デジタル時代に信用情報がどのように流通しているのかを最新FinTechビジネス・トレンドとともに紹介します。

 

『デジタル時代のお金・金融の基礎講座 第1回 いまさら聞けない「デジタル通貨」入門~デジタル通貨は、はるか昔から存在?~』

http://schoo.jp/class/7217/room

 

『第2回 令和に学びなおす“デジタルクレジット”』

http://schoo.jp/class/7290/room

 

文=宮田文机

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