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2020.10.10

Column

頼み事の成功率を高める心理テク「理由アタッチメント」

頼み事の成功率を高める心理テク「理由アタッチメント」

なんとか頼みを聞いてもらえないだろうか?

このお願いが断られたら気まずい……。

そのような思いを仕事の中で抱いたことがある、という方は少なくないのではないでしょうか。

明日仕事で使える心理学を巧みな話術とともにお届けするSchooの人気授業シリーズ『ビジネスで使える賢い心理学』第11回『「理由アタッチメント」でいい返答を引き出す』では、上記のような「人に頼みを聞いてもらいたい」という悩みに役立つ心理テクニックが取り上げられました。

講師を勤めるのは元芸人で現在はアイウェアブランドの経営者という異色の経歴を持つ一般社団法人日本マインドリーディング協会理事兼日本ビジネス心理学会上級マスターの岸正龍(きし・せいりゅう)先生。

「今回のテクニックは一番普通に使えて一番効果的なものです」と岸先生は語ります。ぜひ明日からの社内コミュニケーションに取り入れ、問題解決に生かしましょう!

目次

  • コピー機の実験で判明した衝撃の事実
  • なぜお願いの成功率は高まったのか
  • 理由アタッチメント実践のポイント

 

コピー機の実験で判明した衝撃の事実

 

「もともとすごく有名な実験があって……」と先生が紹介するのがハーバード大学の心理学教授Ellen J. Langer氏が関係するコピー機の実験。

 

コピー機に長蛇の列ができていて、いつ自分が使えるのかわからない、という多くの方が経験したことがあるであろう状況を使った実験です。

 

この状況において「すみません、5枚なのですが、先にコピーを取らせてもらえませんか?」とLanger氏の協力者が尋ねたところ、承諾してくれる確率は60%でした。

 

「優しいですよね? 日本のコンビニだったらふつう並べよって言われると思うんですけど」と先生。

 

 

ここでさらに以下の(A)と(B)、2つのお願いの仕方が実践され、その成功率が測られました。

 

(A)「すみません、5枚なのですが、急いでいるので先にコピーをとらせてもらえませんか?」
(B)「すみません、5枚なのですが、コピーをとらなければいけないので先にコピーを取らせてもらえませんか?」

 

(A)の理由は非常にシンプルですし、(B)に至っては、先生曰く「冷静に考えると、何言ってるんだよ、みたいな理由にもなってない理由」です。

 

しかし、実際に2つの言い方をした場合のお願いの成功率は(A)が94%、(B)が93%でした。

 

 


なぜお願いの成功率は高まったのか

「これ、なんでかっていう話なんですけど……」と先生が話し始めたのが次のたとえ話。

 

あなたが上司や部下に対して「17時が定時だけど、今日18時半まで残業をやってほしい・仕事を手伝ってほしい」と思ったとします。部下の場合には「今日ケーキおごるから手伝ってくれない?」、上司の場合は「次のプロジェクト、早めに納期頑張りますので……ちょっと残っていただけませんか?」などの頼み方が考えられるでしょう。

 

「そう、自分が上司だとおごるから手伝ってよみたいな言い方ができますが、相手が上司だと『なぜ残ってもらわなければいけないか』という理由を説明しなければいけないじゃないですか」と岸先生。

 

「つまり僕ら人間っていうのは理由がついてると下から来ていると思う心のメカニズムがあるんですよ」と謎を解き明かします。

 

 

「ケーキをおごるから手伝って」というのはどこか上から目線な感じがします。それは、理由ではなくメリットを提示しているから。何かをお願いするときには理由をつけて説明し、へりくだっていることを相手に示すのが効果的なようです。

 

前に理由がついていることで、なぜか「しょうがないな」という思いが生じる。

 

このメカニズムを先生は「理由アタッチメント」と名付けました。

 

「単純に『残業してください』といわれるよりも『今日は月曜日なので、残業してください』『明日は給料日なので、残業してください』といわれた方が相手の話を聞きやすい」と先生。

 

確かに自分が言われた側の立場だと想像してみると、納得がいくのではないでしょうか。

 


理由アタッチメント実践のポイント

ここで理由アタッチメントのポイントとして先生が挙げたのが「相手にとって明確な理由を提示する」ということ。

 

例えば残業のお願いをする際、その日に上司が怒っていたという出来事があったならそのことを理由にすれば聞いてもらいやすくなるかもしれません。この理由も冷静に考えれば残業と何の関係もないのですが、重要なのは「上司が怒っていた」という出来事を相手も自分も確かな事実として共有しているということなのです。

 

そして、「理由はたくさんあればあっただけいいんですよね」と先生。「上司が怒っていた」「今日は月曜日」など関連性のない理由でも複数提示することで、なぜか人は説得力を感じてしまうのです。

 

しかしここでリアルタイム受講生からの「理由の意味を深く考えてしまうんだよな」というコメントが取り上げられ、受講生代表から「どんな理由でもいいわけではないのでは?」という疑問が提示されました。

 

それに対して先生は「それは素晴らしいです」と気づきを肯定し、続けて「どれぐらいのお願いをしなければいけないかということとものすごくリンクしているんですよ」と話を展開します

 

前述のコピー機の実験においてお願いの枚数が5枚→20枚になると、普通にお願いした場合で24%、理由アタッチメントを使った場合でも(A)で42%、(B)で24%まで承諾率は下がったといいます。

ここでポイントとなるのが5枚ではほとんど変わらなかった(A)と(B)の承諾率に倍近い差がついているということ。お願いにおける「相手への負担度」が高まるのに比例して、理由に求められる「確かさ」も高まるのです。

 

 

「人に何かお願いをする前には必ず何か事実を理由として述べる癖をつけましょう」と岸先生。それによって相手の心理的ハードルが下がり、社内コミュニケーションが非常に円滑になる効果が期待されます。

 

授業ではもうひとつの頼みを聞いてもらうための心理テクニック「お願いはイエスのあとで」も紹介されました。そちらは実際の授業でご確認を!

 

『ビジネスで使える賢い心理学 第10回 「理由アタッチメント」でいい返答を引き出す』

http://schoo.jp/class/7102/room

 

『ビジネスで使える賢い心理学』次回のタイトルは『「デコデコデコイ」で交渉に勝つ』です。

 

『第11回 「デコデコデコイ」で交渉に勝つ』

http://schoo.jp/class/6341

実際の交渉の場で生かせるよう、リアルタイムで視聴することをおすすめします!

 

文=宮田文机

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