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2020.11.12

Column

長い文章はNG!? 短くて伝わる文章を書くコツとは

長い文章はNG!? 短くて伝わる文章を書くコツとは

みなさんは長い文章で言葉を尽くして説明することが「文章力」だと思ってはいませんか? あるいは色々な人の目線を気にするあまりついつい文章が長くなってしまうことを悩みに思っている方もいるのではないでしょうか?

博報堂のスピーチライターひきたよしあき先生がそのような文章の悩みを解決すべく著した書籍が『博報堂スピーチライターが教える 短くても伝わる文章のコツ』(かんき出版)です。

『世界を勇気づける言葉』などスクーの人気授業に登壇し、人々の悩みに“言葉”の力で答えてきたひきた先生。その文章の秘訣について取り上げた授業が「博報堂スピーチライターが教える 短くても伝わる文章のコツ」です。

この記事では現代で文章が長くなってしまう理由と短くても伝わる文章を書くためのコツをご紹介します。

目次

  • 現代は“日本全体がコミュ障”な時代
  • 文章が長くなってしまう2つの心理
  • 文章は40字以内に収めよう

 

 

現代は“日本全体がコミュ障”な時代

 

「今は文章もしゃべる言葉も伝わらない時代だ」と先生。バブル崩壊以前の全員が中流だった時代、全員が聖子ちゃんカットを真似していた時代は言葉が以心伝心で伝わりやすい状況にありました。

 

現在はどうでしょうか?

 

さまざまな価値観を持つ人々が同時代に生きていることが見て取れます。

 

例えば1971~76年ごろ生まれの「団塊ジュニア世代」は両親が学生運動に参加していた世代です。その下には1977~86年ごろ生まれの「プリクラ世代」が存在し、厳しい校則がなかったことなどから上の世代とは全く異なる価値観を持つと言われています。

 

1987年~91年ごろに生まれた「ハナコジュニア世代」は、両親が男女雇用均等法下で働いていた世代です。そして、その下に位置するのが1992~1996年生まれの「LINE世代」。

 

このように同時代に全く異なる育ち方をし、価値観を持つに至った性別も年齢層も異なる人々が存在します。さらに、帰国子女もいれば地域差も存在するのが現代という時代。

 

かつてのように説明不十分でも意図が伝わるということはありません。多様な価値観を持つ集団同士の間には壁があるような状態だからです。

 

このような状態を“日本全体がコミュ障になっている”と先生は表現します。

 

 

だから、自分の意図が伝わらないということをあまり気にしなくても良いと先生。また、ほかの世代に意図をうまく伝えられなかったり、逆に意図を捉えきれずに叱られたりしてもあまり一喜一憂する必要はないとひきた先生は言います。

 


文章が長くなってしまう2つの心理

「なるほど、まず世代の違いから解いていくのか」というリアルタイム受講生のコメントに先生は「そうです、占い師の方が必ず年齢を聴きますよね」と返答。そうすることで相手がどういう世代なのかを聞き出し、だいたいの価値観を理解しようとしているのだということです。「自分の価値観が上の人に伝わらないのは当たり前と思った方がいいですね」と先生は強調します

 

さらに「『最近の若い者は……』は永遠のテーマのような気がします」というコメントも。先生は笑顔で「そうです! ピラミッドの中にも書いてありますからね」と言葉を返しました。ほかにも受講生から「ジェネレーションによって使っている言葉も違いますよね」という感想も飛び出し、授業内容への期待が高まりました。

 

ここからが授業の本題です。

 

「こういった時代ではなぜ文章が長くなってしまうのか?」という問題提起とともに先生が呼び出したのが以下のスライド。

 

 

「私の通っていた大学の女子トイレに書いてあったものを言語学の先生が写真で撮ってきて『ひきたさん、こんな長い文章が書かれているのよ』といってくれたものです」と先生。なぜこんなに長くなるのかをひきた先生と言語学の先生は考えました。

 

そうして解明された答えは“はっきりものをいうのが怖い”ということ。「『やめてください!』とはっきり言うのが怖いから「こうするとこんなことになっちゃうよ」という状況説明になってしまう」と先生は説明します。現在の状況であれば、「マスク使用のお願い」の文章などでも同様の例は見られます。

 

また、先生がもうひとつ指摘するポイントが“命令形が苦手”ということ。「命令されると怖い気がする」「命令されると上から目線の感じがする」という理由で今、命令形によくないニュアンスが付与されるように感じられる状況があるのです。先生曰く、小学校の教科書や参考書において「~しましょう」という文章の本と「~せよ」という文章の本では売り上げに違いが出るとのこと。

 

そのような恐怖感・苦手感を捨ててシンプルに言いたいことを書き表したのが以下の文章です。

 

 

こちらのほうがすっきりと読みやすい文章に感じられますね。

 

しかし、「これはしょうがないことだ」とも先生は言います。例えば敬語なども学校で教わらないような状況ができているとのこと。敬語が使えない人や命令形に恐怖感を覚える人がいるのは、そのような育ってきた環境の結果なのです。

 


文章は40字以内に収めよう

さらに「文化が進めば進むほど言い回しが遠回りになっていく」と先生。このような回りくどい言い回しは文化が進んだ証拠でもあるのかもしれません。京都言葉にありがちな「マスク足りてますか?(来ないでくださいね)」といった言い回しはニュアンスを人々で理解できる文化の成熟に裏打ちされています。

 

しかし、短い文章で正確に意図を伝えることが求められる場面は少なくありません。そこで意識すべきと先生が掲げたポイントの一つ目が「40字以内に言いたいことを要約する」です。

 

 

夏目漱石の直筆原稿のコピーを持ち出した先生は、「漱石が朝日新聞で新聞小説を書いていたころ、一行19文字の原稿用紙の2行以内に文章を収めようとしていた」というエピソードを紹介します。5・7・5・7・7(31文字)の俳句などの例もあるように、日本語の文章は大体40字以内に言いたいことを収めると「人の耳にも入りやすくなるし理解もされやすくなる」とひきた先生は語ります。

 

例えば昔話『桃太郎』を以下のように37文字でまとめると、非常に収まりがよく感じられます。

 

 

先ほど挙げたトイレの注意文についても以下のように40字で表すと伝わりやすくなりますね。

 

 

文章を書くときだけでなく話すときも、この40文字のひと固まりを意識すると相手に伝わりやすいようです。

 

「納得です」というコメントが視聴者からも寄せられたこのポイント、ぜひ意識してみてください。

 

授業ではほかにも短くて伝わる文章を書くための合計8つのポイントがレクチャーされました。気になる方はぜひ実際の授業動画をご覧になってみてください!

 

『博報堂スピーチライターが教える 短くても伝わる文章のコツ』http://schoo.jp/class/7286/room

 

またひきた先生の言葉の授業をもっと受けたい方には「世界を勇気づける言葉~今、言葉のちからを学ぶ」もおすすめです。

 

『世界を勇気づける言葉~今、言葉のちからを学ぶ』 http://schoo.jp/class/6919

 

文=宮田文机

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