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2021.08.16

interview

“お笑いが好きな人は「世界に退屈している人たち」なのではないか”ーーお笑いとアイドルマスターに学んだパターンの破壊と創造の面白さダ・ヴィンチ・恐山さんの学習ストーリー

“お笑いが好きな人は「世界に退屈している人たち」なのではないか”ーーお笑いとアイドルマスターに学んだパターンの破壊と創造の面白さダ・ヴィンチ・恐山さんの学習ストーリー

ダ・ヴィンチ・恐山の学習ストーリー

目次

  • パターンを壊す。それこそが「面白い」
  • アイドルマスターから学んだ、同じパターンを楽しむということ
  • 求められていることをやることに意味がある
Schooの人気シリーズ「わたしの学習ストーリー」では、ご登壇いただいた講師の方のこれまでの人生を振り返り、考え方が変わった瞬間を教えていただきます。

今回はオモコロのライター、小説家としてご活躍されている、ダ・ヴィンチ・恐山さんにご自身の学びの転換点についてお話ししていただきます。Twitterを利用している方は、一度は恐山先生の投稿を目にしたことはあるのではないでしょうか。

恐山先生の持つ多角的な視点や本質をついた考え方は、どのようにして生まれているのでしょうか。謎に包まれた恐山先生の考え方に触れられる絶好の機会をぜひお見逃しなく。早速学んでいきましょう。

ダ・ヴィンチ・恐山 先生

オモコロ

学びノート

SESSIONパターンを壊す。それこそが「面白い」

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私の学びの転換点、早速一つ目を紹介します。それは「お笑い」です。

現在、私は株式会社バーグハンバーグバーグというところに勤めていますが、この会社はふざけた広告を作ったり「オモコロ」という、読んでも人生にいい影響も悪い影響も与えないWebメディアを運営していたりしています。

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私は子どものころからギャグ漫画ばかり読んでいて、ストーリー漫画を読み始めたのは最近になってからです。

お笑い芸人さんも好きで、とにかくお笑いが好きでした。なぜお笑いが好きになったのかというと、「パターンの破壊」があるところに惹かれたからです。

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お笑いの中には大喜利がありますが、大喜利の中には禁句があります。

それが何か分かりますか?それは「マツコ・デラックス」です。

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マツコ・デラックスさんがつまらないからではありません。むしろ面白いから禁句なんです。

外見も特徴的ですし、タレントとしてのキャラクターも立っていますし、名前も面白い。だからです。

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「マクドナルド理論」というのがありまして、友達と外食するときに「どこで食べようか」という話になって「じゃあマックに行こうよ」と言うと、「マック行くなら別のところにしない.…?」という話になりませんか?

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それはマクドナルドの商品がまずいからではありません。マクドナルドに行けば、それなりの満腹感と満足感を得られることをみんなが知っているからです。

なので友達とマクドナルドで外食をする場合は、食からエンターテインメント性を感じられません。

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それと同様に、「マツコ・デラックス」も面白ワードとして手近すぎることによって、大喜利で出すワードとしてはエンターテインメント性を感じられないのです。

お笑いは「これが面白い」というものが定着してしまうと、それが使えなくなってしまうというシビアな世界です。そのシビアさが、私は昔から好きだったのだと思います。

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言い換えるなら、お笑いが好きな人というは「世界に退屈している人たち」なのではないかと考えています。

世の中にはたくさんの物語があるのですが、一部の人はそこにすぐパターンを見出してしまいがちなのです。

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例えば、子犬が死ぬ感動物語だとしたら「泣ける話とか言っているけど、結局他の話と一緒じゃん。

犬が死ぬだけじゃん。」のような感想を持ちがちだと思います。なので、そのパターンを崩そうとします。

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このストーリーで例えるなら、子犬をダチョウにしてみるとか、パターンを見出したからこそ、「そのパターンを崩して別のことができないか?」という発想をします。

それが必要なのがお笑いです。なので、お笑いが好きな人は本質的には世界に退屈していると思います。

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お笑いをしている人って、ポジティブで明るいイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、個人的な印象は逆です。

「世の中が安定している」ということに一番最初に苛立ち、別のパターンをぶつけてやろうと目論んでいる。そういう攻撃性を持っているような気がします。

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笑顔はそもそも、威嚇からきているという説もあります。猿が歯を出して威嚇する、あの表情から笑いとつながっているのではないかと言われています。

未知の出来事に遭遇したときに歯をむき出す、異常事態に対して笑いで対応するということが関係しているのかもしれません。

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このように色んなものにパターンを見出して、それに退屈してしまい、別のパターンを試してみたくなったというのが最初の学びの転換点でした。

SESSIONアイドルマスターから学んだ、同じパターンを楽しむということ

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僕の学びの転換点2つ目は、「アイドルマスター」です。

アイドルマスター(以下、アイマス)とは、バンダイナムコがリリースしている、アイドル育成シュミレーションゲームの総称なのですが、私は2018年にアイマスを始めて以来、恐ろしいほどの時間とお金をつぎ込むようになりました。

今の心の支えは、アイマスと言っても過言ではありません。

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今まで私はとにかくパターンを見つけて壊すことが好きだったので、ストーリー漫画を熱心に読んだことがありませんでした。

しかし、アイマスを始めて以来、パターンを壊すばかりが生きるということではないと気づきました。

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アイマスでは3Dモデルのアイドルが歌ったり踊ったりするのですが、それは基本的に録画したものを観るのと同じで、同じ曲のものである限り同じ映像が流れます。

しかし、同じストーリーやキャラクターを深く知ることによって、同じパフォーマンスの見え方が変わってくることがわかりました。

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それは、私がお笑いの面白さを追い求めていた時にはほとんど感じていなかった感情でした。

アイドルは基本的にはやることが一緒です。舞台の上で歌ったり踊ったり。同じ曲を何百回も何千回も全国各地で歌ったり踊ったりします。

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それを聞いてみんな喜ぶわけですよね。

私はそういう同じことをずっと繰り返し続けているものを、少し馬鹿にしていた部分が正直ありました。

ですが、人が見たいと思うものをストレートに見せるというのは素晴らしいことだなと感じました。

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この順序に関して、私の場合は少し特殊かもしれません。

なぜなら多くの人は、こっちを先に学ぶからです。

私はまず破壊することを先に覚えてしまったので、積み上げることの素晴らさに後から気づきました。

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今までは決まったパターンが壊れるその瞬間だけが価値のある創造行為なのだという感覚がありましたが、今はパターンを楽しむことにも魅力を感じるようになりました。

同じライブでも毎回自分の中で違う見方、感じ方を見出すことができますよね。

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これはパターンを壊すというよりも、もう何段階かレベルの深いパターンを見出すことができるということです。

そうすると、「もっとこういう風にパターンを壊せるのではないか」という新しいパターンの壊し方も発見できるようになりました。

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「パターンをつくる」「パターンを壊す」という2つの行為が1つになったという感じです。

物語とか音楽がただ新しいパターンであるだけなのは、少し虚しいところがあります。

いつか底をつくのではないかという恐れがありましたが、そこよりも一段階深いところに到達できたのではないかと思います。

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「この先に何かがあるにちがいない」というモチベーションだけで生きていくのは結構しんどいのですが、「求めているものに対して動いている今、この瞬間」に満足することも同じくらい大事だという感覚です。

SESSION求められていることをやることに意味がある

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学びの転換点3つ目は「Schoo」です。私の人生の中で一番大きな転換点だったと思います。

この授業のお話をいただいたときに、受けるかすごく迷いました。

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私は何かにすごく詳しいわけではありません。何か学があるわけでもありませんし、特定の分野を一晩語り明かせる自信がありませんでした。

そんな半端ものである自分が、いったい何をここで話せばいいのかを考えたときに、一度Schooのことをよく知ろうと思い立ちました。

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それはなぜかと言うと、アイマスから学んだように、求められていることをやることに意味があるからです。

Schooというプラットホームで講師側に求められていることは何なのかということをしっかり考えようと思いました。

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そこでわかったことは、まず「当事者性」です。

受講生のチャット欄を見ていてもわかりますが、実名が表示されていますよね。今時実名を使うのは珍しいです。

なぜSchooさんは実名で登録するようにしたか自分なりに考えてみたところ、この「当事者性」が関係していると思いました。

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ネットのコンテンツはタブを変えれば、様々なコンテンツに簡単に飛ぶことができますが、実名でやっているとSchooの授業中にYouTubeに飛びづらい気がします。

色んなところにザッピングしていけるというのは、匿名で自分自身が透明になっているからこそできることです。

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実名を使うことでネットの中に自分がしっかり存在します。

バーチャル講義席にしっかり座っているような、そういう感覚があるので、当事者性を出すために実名を出すのはすごくいいなと思いました。

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2つ目は「一回性」です。Schooの講義は大体60分制で、一回で講義で内容がわかるようになっています。一方、大学の講義だと十数回の講義を受けてじっくり学んでいきます。

なのでSchooの講義は、大学でいうと初回のガイダンスくらいの長さという印象がありましたし、私自身もいろんな方の授業を受けて、講義が始まる前のワクワク感みたいなものを感じました。

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3つ目の特徴は「健全性」です。

健全性に関してはすごくこだわっていますね。例えばこのフワ~っとした背景。

原宿で売っている綿あめみたいな色ですね。寸借詐欺をするような人が講義している感じはしないですよね。

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基本的にSchooさんは「この人は信頼できる人ですよ」とアピールしていて、その人の話をあなたは実名で聞いてください。

60分1回制で信頼できる人が今から話しますよ!!というサイトなんです。

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つまりSchooさんが何を企んでいるかというと、「なんかすげ~人と会って、すげ~話聞いちゃった感」を味わってもらうということなのではないかと、私は勝手に推察しました。

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講義が始まる前のワクワク感って普通は授業の最初しか味わえないと思いますが、Schooさんではそれを無限に味わうことができます。

勉強の一番うまいトロの部分を集めた感じですね。

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哲学でいえば、「哲学書『純粋理性批判』をドイツ語原文で読む」という授業をSchooでした場合、おそらく100回やっても終わりません。

Schooとは、そういうことを研究する人が講師として出るとしても、その講師が「どういうものの考え方をしているのか」に焦点を当てた授業をする所です。

人の考え方の流れを直接声を通して感じられる、精神的な部分に特化しているような所なのかなと思いました。

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なので、私という人間がどういう人間かというのをSchooさんの講義で伝えることができれば、「なんかすげ~人と会って、すげ~話聞いちゃった感」を味わってもらうというゴールに達することができると考えました。

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アイドルと一緒で、求められた舞台で私は私なりに舞おうということですね。

なので今回このような構成で授業をしてきました。

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つまり「Schooで学び方の授業をする」と前振りをしておいて、「Schooで学び方の授業をする」ということについて説明してしまうという私自身のこましゃくれた小賢しさ。

それこそが私の個性だと思うので、学びの転換点3つ目はSchooという自己言及にしてみました。

私の考え方、思考回路は伝わりましたでしょうか?

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ちなみに、ダ・ヴィンチ・恐山(品田遊)のその他の授業はこちらです!

『ただしい人類滅亡計画はどのようにして生まれたのか?』https://schoo.jp/class/8225?ref=pencil

2021年08月16日 公開

この授業の動画をSchooで観る

2021年06月28日 放送分
ダ・ヴィンチ・恐山の学習ストーリー

ダ・ヴィンチ・恐山の学習ストーリー

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