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2021.06.17

column

先入観を“裏返す”ことで、斬新なアイデアが生み出せる?

先入観を“裏返す”ことで、斬新なアイデアが生み出せる?

みなさんは「いい加減」という言葉にどんな印象を持っていますか?

あまり良い印象を持っている人はいないはずです。

しかし、株式会社朝日広告社ストラテジックプランニング部プランニングディレクターで、企業のブランディングやマーケティングの戦略支援に従事する羽田康裕(k_bird)先生は、「いい加減な人ほど生産性が上がる」として、そのビジネス理論を著書『無駄な仕事が全部消える超効率ハック』(フォレスト出版)にまとめました。

本記事では、『超効率ハック』のポイントを羽田先生自ら解説する授業シリーズ、好評を受けて開講された第二回の内容を、テキスト化してお届けします。

目次

  • アイデアが浮かばないとき、まず考えるべきなのは?
  • 先入観を裏返すと、斬新なアイデアが生まれる
  • 「概念的に物事を考える」ことで発想は無限に広がる

 

 

アイデアが浮かばないとき、まず考えるべきなのは?

 

 

『超効率ハック』に掲載された仕事術のうち、どれを取り上げるのかは、リアルタイム受講生の投票によって決められました。

 

「時間」「段取り」「コミュニケーション」「資料作成」「会議」「学び」「思考」「発想」の8分野のうち、第一回の授業で取り扱った「コミュニケーション」「学び」「思考」を除いた5分野のうち、断トツで投票数が多かったのが「発想」です。

 

発想が求められる場面の多い広告代理店に勤務する羽田先生。「みなさん、アイデアが出なくて煮詰まることってありません?」と尋ね、「そういうときに斬新なアイデアはないか、良いアイデアはないかと考えれば考えるほど煮詰まるじゃないですか」と続けます。かつて同様の状態に陥った羽田先生にとって改善のカギとなったのが「良いアイデアを考えるのではなく、今人がおいている前提を洗い出す」という考え方へ移行したことでした。

 

例えば「ホテルに対してユニークなコンセプトを考えてください」となったとき、多くの人は「ホテルにまつわる新しいアイデアはないか?」というところから考えるはず。しかし先生は、「今世の中の多くの人がホテルというものに対している“先入観”を洗い出す」といいます。

 


先入観を裏返すと、斬新なアイデアが生まれる

先生はここで、以下のような先入観を列挙して見せました。

 

・ホテルは泊まる場所だ
・ホテルは整然とした静かな場所だ
・ホテルはおもてなしの場所だ

 

このように前提を洗い出したうえで、「仮にそうでないとしたらどんな場所がありえるか?」という考えにシフトしてみましょう。「こうすると多くの人がおいている常識をひっくり返すような発想をしているので必ず斬新なアイデアが出てくるんですよ」と先生は語ります。

 

・ホテルは整然とした静かな場所だ→もし、ホテルがアクティブな場所だったらどうなんだろう?
・ホテルはおもてなしの場所だ→おもてなしの場所じゃなかったとしたら……?

 

先生は上記のように常識を反転させ、「アスレチックのようなホテル」「全部セルフサービスのホテル」という発想を生み出してみせます。

 

 

 

いきなり良いアイデアを考えようとするのではなく、常識をまずは洗い出して、それをひっくり返すという手順を踏んでみましょう。アイデアやイノベーションを評してよく使われる「常識をひっくり返す」という表現をそのまま実践するという、シンプルながら効果絶大なメソッドです。

 

ここでリアルタイム受講生から質問が寄せられました。

 

・ある案件のイメージや前提条件を洗い出してから、改めて案件の定義づけをしてアイデア出しを頑張っているところです。それもまたひとつの方法としていいと思いますか?

 

上記の質問に羽田先生は首肯し、「物事を見るときに人は外部環境を前提にして考えてしまいがち」だと指摘します。しかし、「新しい発想とは『外部環境を変えてしまえ』というものだ」と先生。だからこそ、外部環境=前提を洗い出してひっくり返すことは効果的だといえるのです。

 


「概念的に物事を考える」ことで発想は無限に広がる

もう一つ、先生が伝授する発想のコツが「概念的に物事を考える」ということ。「商品開発であれなんであれ、『大切なのはコンセプトだ』といわれますよね?」と先生。コンセプトは日本語に訳すと「概念」です。しかし、概念といわれると、なんとなく「あいまい・抽象的・明確でない」といったイメージが浮かぶのではないでしょうか?

 

先生はそう問題提起したうえで、「目の前にA4のコピー用紙があったとします」と例を持ち出します。それだけを渡されてコンセプトを考えてください、と言われても通常発想が浮かぶことはありません。そこで、広告代理店では「A4の紙を概念的にとらえなおす」という思考法を実践しているのだと先生は語ります。「A4用紙は……」という言葉に続けて以下のように用途を先生は列挙します。

 

・文字や絵を描くものである
・包むものである
・折るものである
・拭くものである
・貼るものである
・飾るものである……

 

そうすると、単なる用紙が用途を伴った抽象的な概念へと変わります。

 

──目の前の実態にとらわれず、「何のためにあるものなんだろうか」と捉えなおす。これが「概念的に物事を考える」手法なのです。

 

 

 

さらに発想を進め、「A4用紙を包むものである」とした場合、何を包むかを今度は具体的に考えます。先生が列挙するのが以下のような発想。

 

・手紙を包む→封筒
・プレゼントを包む→ギフト容姿
・荷物を包む→段ボール
・お金を包む→のし袋
・赤ちゃんのお尻を包む→オムツ
・口を包む→マスク

 

かなり発想が広がったことが見て取れますね。

 

先生曰く、「このプロセスを経ることでどんなアイデアも出てくるようになる」ということです。

 

覚えておきたいキーワードが「モノをコトに捉えなおす」。発想に詰まったらこの言葉を思い出して、抽象化に取り組んでみましょう。

 

「概念化・具体化によって成功した具体例ってありますか?」という質問に「酔い止めの薬を出す会社があったんですよ……」と先生。その成分が女性の肌に良いということがわかり、その点を押し出して販売したところ、なんと売り上げは100倍になったということです。

 

全く同じものなのにもかかわらず、捉え方=コトを変えて押し出すだけで結果が大きく変わる事例は現実に多数存在します。もしかしたらあなたの身の回りにも眠っているかもしれません。

 

今回取り上げた発想のコツ「前提を洗い出す」「概念的に物事を考える」を今日からぜひ実践してみてください。「質疑応答やほかの分野についての先生の話をもっと聞きたい!」という方は、第一回の授業や今回の授業動画にアクセスしてみることをおすすめします。

 

文=宮田文机

今回取り上げたSchooの授業はこちら!
『続・いい加減な人ほど生産性が上がる「超効率ハック」』

 

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